地球温暖化と言いますが、それでも冬は寒いですよねぇ。
家を建てる際に、冬の暖房計画 はしっかりと考えておかなければなりません。
ヒーター等の局所暖房ではなく、部屋全体の全体暖房が基本です。
熱の三原則 をご存知でしょうか。
一般的に、部屋の暖房は エアコン暖房 で検討される方が多いかと思います。
エアコン暖房は「対流」を使って暖房します。
暖かい空気は上に、冷たい空気は下に移動します。
そのため
「頭熱足寒」という状態になりがちです。
この状態は不快に感じられる方が多いのですよね。
「対流」のデメリットともいえます。
もう一つの暖房方法が 床暖房 です。
床暖房は「熱伝導」と「熱放射(輻射)」を使って暖房します。
足元から温めますので「足熱」の状態を保つことができます。
この状態だと、体全体が温まり、不快感がありません。
床暖房、良いですよ!
とはいうものの、床暖房にも様々な種類があります。
今回のコラムでは、様々な床暖房をご紹介し、導入する際の検討ポイントについてご紹介させていただきます。
床暖房は大きく分けると、電熱ヒーター式と、温水循環式があります。
さらに、それぞれ種類がありますので、まずはひと通り見ていきましょう。
目次
電熱ヒーター式の床暖房
電熱線式
子どもの頃の理科で習いましたが、金属に電気が通ると、抵抗で熱が発生します。
コイルを巻いて実験しましたよね。
この発熱を利用して、床を温める仕組みが電熱線式です。
ホットカーペットが電熱線式ですので、わかりやすいですよね。
メリットは暖かくなるのが早いこと、デメリットは電気代が高くなりがちなことです。
蓄熱式
電熱線式で生み出した熱で、蓄熱体というものを温めておき、その熱を使って床暖房します。
料金の安い夜間電力を利用して発熱し、昼間にその熱を使うというのが基本です。
メリットは安い電気料金が使えること、デメリットは放熱時に熱のコントロールが難しいことです。
(原子力発電所が止まり、夜間の電力も安くなくなってしまったのは辛いところです)
PTC発熱ヒーター式
PTCとは、Positive Temperature Coefficient(正温度係数)というものだそうです。
メリットは、PTC物質には自己加熱抑制機能が備わっており、ヒーターに一定の熱量が加わると電気を遮断するため、温度を自己制御できるのがポイントです。
デメリットは、PTC物質が膨張・伸縮を繰り返すため、劣化が起こると十分な機能が発揮できないことです。
CAT/FHT式
面状発熱体式の床暖房です。
面状発熱体とは金属箔に電気を流して発熱させるシート状の発熱体のこと。
メリットは、非常に薄くてやわらかいため、曲面や狭いスペースへの加熱に使えること。
デメリットは、広い面積に適していないことです。
温水循環式の床暖房
床面に水道ホースのようなパイプを張り巡らせ、そのパイプに温水を流し温水の熱で床を暖める方式です。
どうやって温水を作るのかによって、種類が違ってきます。
ガス式(ガスボイラー式)
ガス給湯器(ガスボイラー)を使って、お湯をつくります。
メリットは、直接、火でお湯をつくるため、早く暖かくなることです。
デメリットは、ガス給湯器の種類によって、料金が高くなりがちになることです。
灯油式(ボイラー式)
一般的なボイラーを使って、お湯をつくります。
メリットは、燃料代が安くすむこと。圧倒的なメリットです。
デメリットは、定期的に灯油を補給しないといけないことです。
石油ストーブと同じく、そとに灯油のポリタンクを置いておいて、冬の寒さの中、給油しないといけないのは辛いですよね。
電気式(ヒートポンプ式)
エアコンと同様、ヒートポンプを使ってお湯をつくります。
メリットは、エコキュートやエアコンと同様に電気代が安いこと。
ヒートポンプ(熱交換)を使うことで、消費電力の3倍の熱エネルギーを生み出します。
デメリットとしては、エコキュートと同様、室外機(ヒートポンプ)が必要ですので、壊れた場合は交換が必要なことです。
使い方によりますが、10年程度したら交換しないといけないケースが発生してきます。
太陽光式床暖房
屋根に設置した器具により太陽熱で循環液を温め、その循環液を床に設置したパイプを通して部屋を温める暖房システムです。
メリットは、無料の太陽光の恩恵を受けられること。
デメリットは、天候や気温に左右されやすく、熱量不足の場合は別の方法でお湯をつくらないといけないことです。
床暖房導入の際の検討ポイント
床暖房を導入する際には、いくつかきちんと検討しておかないといけないポイントがあります。
順番に見ていきましょう。
主暖房として使うのか?部分暖房として使うのか?
床暖房の導入には、それなりの初期コストがかかります。
コストを抑えるために、リビングのみ導入されるケースもよく見られます。
部分暖房として使う場合は、導入エリア以外は、エアコン暖房に頼らざるを得ません。
例えばリビングのみに導入した場合、廊下やトイレなど、リビングから出ると寒いですので、ヒートショックにも注意が必要です。
リビング階段を設置している場合は、2階から冷気がおりてきます。
主暖房として使う場合は、やはり全室導入すると快適です。
一条工務店さんの床暖房(温水式・電気式)は全館導入が基本ですので、全室に加えて、廊下もトイレも浴室も導入されていますので、温度差が発生しないのが最大のメリットですね。
相性の良いフローリング材や畳の検討
どの方式を使うかによって変わってくるのですが、木は温めると膨張し、冷えると収縮します。
床暖房導入により、膨張・収縮の頻度が増えるため、床材が傷みやすいことが挙げられます。
各社から床暖房対応の床材が出ておりますので、そちらを使うようにしましょう。
また、畳はその分厚さから、畳そのものが断熱材としての意味を持ちます。
通常の畳の場合、床暖房の熱を断熱してしまうことも。
床暖房対応の畳(薄くなっています)がありますので、そちらを使うようにしましょう。
故障やメンテナンスへの対応について
故障した際に「床全面」を剥がさないといけないため、コストが大きくなりすぎる、という失敗例を多く聞きます。
コストに加えて、リビングの床を全面剥がすとなると、生活にも大きく影響します。
故障するならば、どこが故障する可能性があるのか?
故障した場合に、どのような工事が必要で、どのくらいの費用になるのか?を確認しておく必要があります。
また、温水循環式の場合は、一定期間が過ぎると、ボイラーの交換は必須です。(ヒートポンプを含む)
このコストの準備もしておかなければなりません。
ということで、床暖房の種類と、検討ポイントについてまとめてみました。
床暖房の導入は、導入費用とランニング費用 をしっかり計算する必要があります。
逆に言えば、導入費用を計画できるのであれば、ぜひ、取り入れたい暖房方法といえます。
エアコン1台や2台で快適、部屋単位でのエアコンも良いのですが、ぜひぜひ、検討に加えてみてくださいね。
いっしー的には、熱効率(光熱費)と故障対応を考えると、ヒートポンプ式の温水循環式を推しています!
ちなみに、いっしー宅は電気式(ヒートポンプ式)の全館床暖房を導入しており、すこぶる快適です。
あえてデメリットを上げると、外の寒さがわからないため、室内外温度計を常に見る必要があることですね(汗)
シチズン コードレス温湿度計 THM527 マルチチャンネル対応
2個設置しても、別チャンネル設定ができるので便利です!
ということで、床暖房についてまとめてみました。
予算に少しゆとりがありましたら、ぜひぜひ、検討課題に加えてみてくださいね。
こちらの記事も合わせてご参考くださいね。
↓↓↓
エアコン計画における3つの検討ポイント~家建ててからでは遅いのです~
いっしー(家の素人 勉強中)
家を建ててようやく家の基本中の基本を知る。
建築家の皆さまにご教授いただきながら、家について楽しく学んでいます。
※プロの皆さま、このコラムは家の素人が、建築家の皆さまに教えていただいたり、書籍等で勉強したりした内容を記載しております。
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