人生の三大資金(三大支出)って言葉を知っていますか?
「住宅資金」
「教育資金」
「老後資金」
この言葉を言っているのは保険業界や投資系業界が多いのですが、
大きなお金が必要になる、3つの出来事です。
これに「車」と「保険」を合わせて五大支出という場合もあります。
「保険」に関しては、三大支出をサポートするための道具・手段と言えるかもしれません。
住宅資金に関してのみ考えてみますと、
家を建てるには大きなお金が必要です。
その前に、家を建てる場所である土地を購入するにも大きなお金が必要です。
家・土地のセットで購入するとすると、必要なお金は3,000万円~ぐらいになりますでしょうか。
それ以外にも様々なお金がかかってきます。
これから家を建てよう!
と思われている皆さん。
しっかり貯金をしていますか?
3,000万円~というお金を返していけるのだろうか・・・
と、不安に思われる方もいらっしゃるかと思います。
が、周囲を見渡してみると、家ってどんどん建っていますよね。
そうなんです。
家って建てることができる
のですよね。
最近では、
頭金ゼロで家を建てられます!
とか
年収○○万円でも大丈夫!
とか
毎月○万円台(5、4、3)の支払いで建てることができます!
という広告もよく見かけます。
(最後の○万円台のみ、今回のテーマから外れます。)
どうして、お金がなくても数千万円という家を建てることができるのでしょうか?
今回は、そんな理由を、5つにまとめてみました。
家って、建てることができるのです!
【理由1】住宅ローン(金利)
まとまったお金がなくても、長い時間をかけて支払っていくことができる仕組み。
それが「住宅ローン」です。
住宅ローンの歴史は諸説ありますが、一般の人の住宅取得のために普及したのは、戦後の1950年に住宅金融公庫が創設されたのがスタートといえます。
それまでは、家って一般の人が買うものではなかったのですよね。
住宅ローンというのは、お金を借りることですので、お金の使用料・レンタル料が発生します。
それが「利息(金利)」です。
お金貸す側に、長期的に「利益」を提供することができるからこそ、お金を長期的に貸してもらえるということです。
住宅ローンの元金返済以外に、この「利息」を毎月支払っていきます。
だから、金利によって支払いが大きく変わってくるのですよね。
また、住宅ローンの完済年齢が上がってきたため、月々の負担を抑えながら、家を買えるようになりました。
フラット50なんて商品も↓
負担コスト:金利
【理由2】建物・土地の担保
では、お金を返せなくなった場合はどうなるのでしょうか?
大きなお金ですので、大きな損失になってしまいますよね。
そのため、住宅ローンを組む際には、必ず建物と土地を担保に差し出さなければなりません。
住宅ローンの支払いができなくなった場合、建物と土地を取り上げる仕組みです。
売却をすれば、全額とはいかなくても、一定の割合でお金を回収することが可能です。
そのために、この担保に関する権利を「抵当権」といい、お金を貸してもらう際には、法務局に抵当権というものを登記することになります。
土地・建物の抵当権の登記を行うための費用は、あなたの負担となります。
現実的には、この「抵当権」を設定するまで金融機関はお金は貸してくれませんし、住宅会社はお金を払ってくれるまで建物の引き渡しをしてくれません(建物登記ができません)ので、このあたりがややこしいことになります。
(つなぎ融資の利息が必要となる理由の一つです。)
負担コスト:抵当権設定登記料
【理由3】保証料
住宅ローンを組む際に、必ず求められるのが「保証料」です。
「万一、住宅ローンが払えなくなったときも、保証会社が保証してくれるので安心です!」
という説明を受けますが、そもそも「安心」なのは、あなたではなく金融機関となります。
わかりやすく言いますと、
あなたが住宅ローンが払えない
→ 金融機関が住宅ローン債権を保証会社に売却
→ 金融機関は保証会社からお金を回収
→ 保証会社からあなたに請求がやってくる
という流れです。
保証会社が保証をするのは、金融機関に対してであり、あなたではないということを知っておいてください。
それなのに「保証料」は金融機関ではなく、あなたが払うのですよね(汗)
「保証料」は、借入残高の0.1~0.3%の金額となります。
「保証料」は、一括で支払う方法と、分割で支払う方法があります。
負担コスト:保証料
【理由4】団体信用生命保険
住宅ローンを支払っている期間に、万一のことがあって、死亡したり、高度障害状態で働けなくなってしまったりすると、住宅ローンを支払うことは困難となってきます。
そのための対策として「団体信用生命保険」(通称、団信)の加入があります。
その名のとおり「生命保険」です。
「フラット35」など一部例外はありますが、住宅ローンの借り入れの条件として、団体信用生命保険への加入が必須になっていることが多いです。
万一の死亡の際には、住宅ローンが一括返済されますので、残った家族は安心です。
(三大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)に対応する保険もあります。)
一括返済されたお金は収益から除外されますので、税金もかかりません。
金融機関としますと、建物・土地を差し押さえるより、現金で一括で返してもらった方が良いですよね。
最近では住宅ローンの金利の中に、団体信用生命保険が組み込まれているものもあります。
イメージとしては借入残高の0.1%ぐらいですので、仮にローン残高3,000万円の場合、3,000万円の生命保険に年3万円で入ることができるという、超お得な生命保険なのです!
ちなみに、業界最安といわれる「ライフネット生命」さんの掛け捨て生命保険で、30歳男性、死亡保険金3,000万円、保険期間30年とすると、毎月の保険料は5,593円、1年間で67,116円と、2倍以上の保険料が必要です。
生命保険の場合、開始年齢が上がるごとに保険料が高くなっていきます。
逆に、団体生命保険は、元金の返済が進むほど、保険料が安くなっていきますので、毎年、保険料が下がっていくというメリットもあります。
団体生命保険があれば、住宅ローンの残高と「同じ金額」の大きな生命保険に入っていますので、通常の生命保険を減額して毎月の負担を減らすこともできます。
(FPさんがよくご提案されている方法です。)
負担コスト:団体信用生命保険料
【理由5】火災保険(水災補償・地震保険)
住宅ローンを借りる際に、建物の評価額以上の火災保険に加入することを義務付けられているケースが大半です。
場合によっては、火災保険の質権設定を求められる場合もあるそうです。
(私の場合はそうでした。)
火事で家が燃えてしまった場合、担保価値もなくなりますので、一括でお金を返してもらう必要がありますよね。
あなたにとっても、火事で家が燃えてしまった後に、家を再建しなければなりません。
その時に活用できるのが、この火災保険という訳です。
近年、地震や台風などの被害が大きくなっています。
地震で建物が倒壊した場合は、地震保険に入っていないと、火災保険では補償されません。
床上浸水をした場合には、火災保険に水災補償というオプションをつけていなければ補償されません。
(この水災補償をしていない人が多いのですよね。)
ちなみになのですが、地震や津波等の災害が多発したため、現在では、火災保険は最長10年*、地震保険は最長5年でしか加入ができません。
(以前は、借入期間全体での火災保険の加入でした。)
(*法律が改正され、2022年10月以降は火災保険も最長5年となりました。)
すなわち、5年後には地震保険の更新が、10年後*には火災保険と地震保険の更新がやってくるということです。
この費用を計画しておかなければ、突然、大きな出費に迫られることになります。
もちろん、住宅ローンの残高がある場合は、更新が必須となってきます。
負担コスト:火災保険料
ということで、
上記の【5つの理由】のおかげで、お金がなくても家を建てることができるのです。
これらの仕組みを考え出して、組み込んでいった人ってすごいなぁと思う次第です。
もちろん、この5つのための費用は、家を建てるあなたが支払う訳ですが、ここまで幾重にもリスクヘッジをしている高額商品というのも珍しいのではないかと思います。
ただし、住宅ローンを組んで家を建てるということは、これから何十年にも渡って支払いを続けていくということです。
建物・土地が担保に取られているということは、名義はあなたのものであっても、実質は金融機関のものであるということです。
無理な返済計画とならないよう、また、メンテナンス費用等もしっかり計算に入れて、住宅ローンを組んでいきましょう。
× いくらまで借りられるのか?
○ いくらなら無理なく返せるのか?
ですよ!
いっしー
家を建てることで、様々な家の基本知識を学ぶ。
数多くの注文住宅を内見し、住宅系の書籍は大半を読破。
宅建士まで受験。
住宅会社・設計事務所の皆さまにご教授いただきながら、家について楽しく学んでいます。
※プロの皆さま、このコラムは家の素人が、建築家の皆さまに教えていただいたり、書籍等で勉強したりした内容を記載しております。
間違いや修正事項がございましたら、ぜひ、ご指摘いただければと思います。
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