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「つなぎ融資」って何なの?避けては通れない計算外コスト

住宅を建てるためには、土地の費用、家の建築費以外にも、様々なコストがかかります。

家の値段っていくらなの???すべてのお金を並べてみました。

 

その中でも忘れられがちな費用が「つなぎ融資」に関するコストです。

ところで「つなぎ融資」って何でしょうか?

これを知るためには、まず、2つの仕組みを知っておく必要があります。

 

家が建つまでのお金

1. 家は誰のものでしょう?

instagramの家アカウントを見られている方は、「引き渡し」のセレモニーをたくさん見ているかと思います。

「本日、引き渡しです!」

といって、家族でテープカットしていたり、大きな鍵を持っていたり、実際に鍵で玄関を開けたり、というアレです。

ようやく、我が家になる瞬間のセレモニーで楽しいのですが、実は、この「引き渡し」には重要な意味があります。

 

「引き渡し」の際には、表側のセレモニーと共に、裏側の建物の「登記」という実務を行います。

 

新築を建てる際に必要な登記には

・建物の表題登記
・土地の所有権移転登記
・建物の所有権保存登記
・抵当権設定登記

があります。

 

家を建てているのは施主であるあなたなのですが、

なんと

「引き渡し」の登記が完了するまでは、家の持ち主は「住宅会社」

なのですよね。びっくりです。

 

そのため、施主であるあなたから「お金の支払いが完了」しない限り、「引き渡し」をすることができません。

「引き渡し」をしてお金を払ってくれないとなると困りますので、まぁ、当然ですよね。

 

ここで金融機関側に問題が生じます。

あなたに「住宅ローン」を提供してくれる金融機関は、お金を貸してくれる代わりに、あなたの「新築の家と土地」を担保に取ります。

専門用語でいうと、あなたの家の建物と土地に対して、第一順位の抵当権を設定します。

つまり、

「引き渡し」の登記が終わってからでないと、お金は貸してくれない

ということです。

あれ?

・お金を払わないと、家の「引き渡し」は行われない
・家の「引き渡し」が行われないと、お金を借りることはできない
・じゃあ、どうやってお金を払うの???

ということになります。この矛盾は何?

 

2. 家を建てるためには、建築資材や人件費を払うためのお金が必要

さて、家を建てるためには、建築資材や人件費など、様々なお金が必要です。

住宅会社も、身銭を切って建築資材を購入したり、人件費を払ったりするのは、とてもリスクですよね。

なんせ、住宅は千万円単位の高額商品ですので。

 

不動産の購入も同様です。

お金の支払いと、土地の所有権移転登記はセットです。

 

そのため、家を建てるためには

・土地の取得時(取得費)
・建物着工時(着工金)
・上棟時(中間金)
・引き渡し時(最終支払い金)

という4段階でお金を支払う必要があります。

 

しかし、施主であるあなたには、支払うためのお金はありません。

じゃあ「住宅ローン」で払おう!

と思っても、住宅が完成して「引き渡し」が終わるまで、住宅ローンは使えません

あれ?無理ゲー???

ということになります。

 

「つなぎ融資」って何?

上記、1.2.の問題を解決するためにお金を借りることを「つなぎ融資」といいます。

えっ、そんな面倒なことをせずに、住宅ローンとして貸してくれたらいいのに!

と思いますが、1.の理由のため、金融機関としては「住宅ローン」を貸せないのです。

 

じゃあ、「つなぎ融資」なら大丈夫なの???

というと、金融機関にとってはリスクだらけな融資なのです。

 

そのリスク低減のため、お金を借りるためのコストが高く設定されています。

住宅ローンに比べて金利が高かったり、融資手数料が高かったり、保険料がかかったりするわけです。

 

結果として、「つなぎ融資」には、数十万円~100万円程度のコストが必要になってきます。

※例えば「つなぎ融資」3,000万円を金利2.5%で6ヶ月借りた場合、「金利だけ」で37.5万円(税別)が必要になります。

 

なかなかのコストなのですよね。

ある意味、「住宅ローン」返済の前に、融資手数料や金利の怖さを学ぶ良い機会ともいえます。

 

さて、ここでもう一つ問題があります。

「えっ、そんなコストのお金、払う余裕はないですよ・・・」

という問題です。

 

「つなぎ融資」の返済方法

「つなぎ融資」には、いくつかの返済方法があります。

 

A. 住宅ローンの実行時に元金と利息を一括で返済

こちらを選択する方が多いのではないかと思います。

メリットは、住宅ローン開始時まで、利息の支払いが必要ない、ということです。

デメリットはもちろん、住宅ローンの借入額が少し大きくなる、ということです。

例えば借入額が50万円増えたとすると、金利1%で、年間5,000円の金利支払いが増えます。

 

B. 利息のみ毎月返済、元金を住宅ローンの実行時に一括で返済

(つなぎ融資の借入時に利息のみを一括で支払い)

お金に余裕があるのでしたら、こちらの方法を選択される方もいます。

メリットは、住宅ローンの借入額が予定通りで行える、ということです。

デメリットは、住宅ローン開始前に、手元のお金が減る、ということです。

 

いやぁ、解説していて思うのですが、施主側からすると、本当に変な仕組みですよね(汗)

最初から住宅ローンを使わせてくれればよいのに!と思います。

しかしながら、金融機関側、お金を貸す側の立場から考えると、こちらも理解できます。

※住宅ローンを分割して利用できる場合もありますので金融機関にご相談ください。

 

こちらのコラムに書いていますが

あなたが家を買うことができる5つの理由!(買えちゃうんですよね)

【理由2】建物・土地の担保
【理由3】保証料
【理由5】火災保険(水災補償・地震保険)

が使えない状況で、高額融資をするのは、さすがにリスクがありますよね。

やむを得ないコストと割り切るしかありません。

 

ということで、「つなぎ融資」についてお話させていただきました。

「つなぎ融資」の仕組みやコストをきちんと理解して、家の計画をしていきましょう!

 

こちらのコラムもご参考ください。

「100万円アップなんて月々わずか3,000円ですよ!」それは天使の声なの?悪魔の声なの?

 

HOUSEリサーチ運営事業部
いっしー(家の素人 勉強中)
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建築家の皆さまにご教授いただきながら、家について楽しく学んでいます。

 

HOUSEリサーチ 新築住宅情報センター

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間違いや修正事項がございましたら、ぜひ、ご指摘いただければと思います。




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