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電気料金の値上げラッシュ!電気料金ってどうやって算出されるの?




2022年12月現在

ロシア・ウクライナ問題を発端として始まったエネルギーの高騰!

電気代もガス代もどんどん値上がりしていますね(泣)

 

思えば、コロナが始まった頃までは、新電力の営業ラッシュ!

どこもかしこも、新電力に参入していました。

ドコモでんき

auでんき

ソフトバンクでんき

など、携帯会社が「電気」を売り始めた時には、世も末だなぁと思ったものです。

新電力については、過去のコラムで書かせていただいております。

中長期的目線で考えると、

・新電力はなし
・それでも使いたい場合は、大手電力会社の子会社を使う

という結論でした。

 

・・・なのですが

大手電力会社の子会社である新電力も、今回は大ダメージを受けています。

東北電力と東京ガス(東京瓦斯)が折半出資していた新電力「シナジアパワー」が2022年12月1日に破産申請するという

東京電力も、全額出資の新電力「東京電力エナジーパートナー(東電EP)」が債務超過となり、2022年8月31日に、2000億円の資本注入を行うと発表しています。

原発がすべて再稼働すれば、エネルギー問題は大きく改善するのですが、世論的になかなか難しそうですね(汗)

 

さて、今回は新電力ではなく、親元の大手電力会社の電気代のお話です。

ちょっと、こちらを見ていただけますでしょうか。

いっしー宅の、ここ3年分の同月の電気料金明細です。

(2020年11月分)

(2021年11月分)

(2022年11月分)

人間の生活スタイルはあまり変わりませんので、電気の使用量はあまり変わりません。

にも関わらず、電気料金はどんどん上がっていっています。

 

特に気になるのが「燃料費調整額」というもの。

2020年は「マイナス」だったにも関わらず、2021年には「わずかにプラス」に、2022年にはなんと電気料金の「43%のプラス」になっています。

「燃料費調整額」って何なのでしょうか?

 

今回のコラムでは、知っているようで知らない「電気料金の仕組み」について解説させていただきます!

 

 

1. 電気料金ってどういう仕組みになっているの?

まずはここからですね。

電気の契約プランに関わらず、電気料金の算出のための方程式は以下の通りです。

電気料金 = A.基本料金 + B.電気量料金 + C.再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)

 

これをさらに分解していきましょう。

B.電気量料金 = B1.電気量料金 ± B2.燃料費調整額

ここで「燃料費調整額」が出てきましたね。

 

もっと分解していきましょう!

B1.電気量料金 = B11.電気量料金(本来の電気使用量)+ B12.託送料金等

ん?電気量料金って、電気代以外にも託送料金等というのが含まれているのですね。

 

もっともっと分解していきましょう!

B12.託送料金等 = B121.託送料金(送配電部門における人件費 + 設備修繕費 + 減価償却費 + 固定資産税等)+ B122.電源開発促進税 + B123.賠償負担金 + B124.廃炉円滑化負担金等

かなり長くなってきましたね。

 

つまり、電気料金の算出のための「正しい方程式」は、

電気料金 = A.基本料金 + B11.電気量料金(本来の電気使用量)+ B121.託送料金(送配電部門における人件費 + 設備修繕費 + 減価償却費 + 固定資産税等)+ B122.電源開発促進税 + B123.賠償負担金 + B124.廃炉円滑化負担金等 ± B2.燃料費調整額 + C.再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)

ということになります。

ものすごい足し算になっていますね(汗)

 

つまり「電気料金の値上げ」というものは、何が上がっているのか?ということになります。

A.基本料金 なのか?
B121.託送料金 なのか?
B123.賠償負担金 なのか?
B124.廃炉円滑化負担金等 なのか?
B2.燃料費調整額 なのか?
C.再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金) なのか?

ということですね。

公式発表が必要な値上げもあれば、燃料費調整額のように公式発表が必要ないものもあります。

 

 

2. 電気料金の内訳の詳細について

電気料金の内訳って、ほとんど国民に知られていませんよね。

それぞれの料金について、説明させていただきます。

 

A.基本料金

電気を使用するにあたり、電気を使っても、使わなくても発生する料金です。
電力事業を安定して運営するための、サブスクモデルですね。

 

B11.電気量料金(本来の電気使用量)、 B121.託送料金

2016年(平成28年)4月1日より、電力自由化に伴い、電気事業者は「発電事業者」「送配電事業者」「小売電気事業者」の3つの事業に区分されるようになりました。

「発電事業者」・・・電気を作る
「送配電事業者」・・・電気を運ぶ
「小売電気事業者」・・・電気を売る

と言い換えるとわかりやすいでしょうか。

「発電事業者」は「小売電気事業者」に電気を売る

「小売電気事業者」は「電力消費者」に電気を売る
この際に、運び賃である「託送料金」を一緒に回収する

という流れです。

託送料金について(経済産業省 資源エネルギー庁)

 

B122.電源開発促進税

堅苦しく書くと

発電施設等の設置の促進及び運転の円滑化を図る等のための財政上の措置並びにこれらの発電施設の利用の促進及び安全の確保並びにこれらの発電施設による電気の供給の円滑化を図る等のための措置に要する費用に充てるための税

わかりやすく書くと

発電施設を作る費用、発電施設を運転するための費用、電気を安定して供給するための費用、のための税金

となります。

昭和四十九年法律第七十九号
電源開発促進税法


に基づいて徴収されています。

「原子力発電所を作って維持するための税金」と書いた方が、ストレートでわかりやすいかもしれません。
(水力発電所、地熱発電所もですが)

 

B123.賠償負担金

堅苦しく書くと

「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針(2016年12月閣議決定)」に基づき、福島第一原子力発電所の事故以前から原子力損害の賠償のために備えておくべきであった総額約2.4兆円を40年程度で回収するため、電気料金(託送料金)の一部として需要家から受け取ります。

わかりやすく書くと

本当なら福島第一原子力発電所の事故に備えてお金を貯めておくべきだったけど、事後になっちゃったので、これから原子力損害の賠償をするためのお金を、電気を使っている国民全員から集めますね!期間はとりあえず40年間ね!

となります。

福島第一原子力発電所の原子力損害の賠償は、国民全員で払っていくということで、そのための負担金を「託送料金等」に折り込んで徴収しています。

 

B124.廃炉円滑化負担金等

堅苦しく書くと

「エネルギー基本計画(2018年7月閣議決定)」で示されている原発依存度の低減というエネルギー政策の基本方針の下、円滑な廃炉を促すために原子力発電所の廃炉に伴って一括して生じる費用を分割計上する費用として、電気料金(託送料金)の一部として需要家から受け取ります。

わかりやすく書くと

古くなった原子力発電所を廃炉にしないといけないのだけれど、その費用は、電気を使っている国民全員から集めますね!

となります。

廃炉にするための費用は、国民全員で払っていくということで、そのための負担金を「託送料金等」に折り込んで徴収しています。

 

B2.燃料費調整額

堅苦しく書くと

発電に必要なLNG(液化天然ガス)など燃料の価格変動を電気料金に反映させるためのものです。
必ず毎月変動し、燃料費が基準価格よりも低ければ電気料金から減算、高ければ加算されます。
事業者の効率化努力のおよばない燃料価格や為替レートの影響を外部化することにより、事業者の経営効率化の成果を明確にし、経済情勢の変化を出来る限り迅速に料金に反映させると同時に、事業者の経営環境の安定を図ることを目的とし、平成8年1月に導入されました。

わかりやすく書くと

飛行機の燃油サーチャージみたいなもの、ですね。

四半期ごと(3ヶ月ごと)に、料金を調整して、次の四半期(3ヶ月)の電気料金に反映されます。

ただ、大きな変動があると、電気料金が乱高下して混乱を招きますよね。

そこで、

燃料費調整単価の算出に反映できる平均燃料価格の上限は、基準燃料価格の1.5倍

というルールがありました。

どんなに発電原料が高くなっても、基準燃料価格の50%までしか値上げしてはいけませんよ!

という制限でした。

しかしながら

2022年11月より、全大手電力会社の10社全てで、この「上限が撤廃」されました。

これにより、理論上、電気料金における、燃料費調整額は青天井で上げることができるようになりました。

 

こちらのコラムがよくまとまっていましのたで、興味のある方は、ぜひ、ごらんください。

燃料費調整額とは 上限撤廃している電力会社はどこ?(エネチェンジさん)

 

C.再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)

太陽光パネル等で発電した電気を買い取ってもらえるFIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)

その買い取り原資となるのが、この再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)です。

再エネ賦課金で買い取るため、電気を買い取る側の大手電力会社は、一斉、電力調達コストの負担がないということですね。驚きです。

 

これ、つまりなのですが

「太陽光パネル」の設置が増えれば増えるほど、私たちの電気料金が上がっていく!

ということなのですよね。

【1kWhあたりのFIT買い取り単価の推移】

本来「太陽光発電」などのクリーンエネルギーは、発電コストが安いので促進しよう!、つまり電気料金が安くなるので促進しよう!とならなければならいのですが、FITのおかげで、私たちの電気料金はどんどん上がっていくことになります。

山々が切り開かれて、事業用の広大な太陽光パネルが設置されているのを見ると、「なぜ、その費用を私たちが負担するの?」と、個人的には思ってしまう訳です。

 

2022年12月15日、東京都では新築住宅への太陽光パネル設置を義務付ける条例案が可決されました。

この費用、すべて私たちが支払っていくのですよね(汗)

なんとも言えません。

 

ということで、電気料金について長々と説明をさせていただきました。

ロシアのウクライナ新興で、石油や天然ガスなどの資源は「外交の武器」「戦争の武器」として活用されるようになってしまいました。

それに伴い、電気料金、ガス料金が上がり、それはすべての商品の値上げに繋がっていきます。

私たちにはどうすることもできませんが、1日も早く、元の流通の仕組みに戻ってほしいですね。

 

 

HOUSEリサーチ運営事業部
いっしー
家を建てることで、様々な家の基本知識を学ぶ。
数多くの注文住宅を内見し、住宅系の書籍は大半を読破。
宅建士まで受験。
住宅会社・設計事務所の皆さまにご教授いただきながら、家について楽しく学んでいます。

 

HOUSEリサーチ 新築住宅情報センター

※プロの皆さま、このコラムは家の素人が、建築家の皆さまに教えていただいたり、書籍等で勉強したりした内容を記載しております。
間違いや修正事項がございましたら、ぜひ、ご指摘いただければと思います。

 

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