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「炭酸」と「タンサン」と「炭酸ソーダ」は違います!お掃除に役立つ炭酸シリーズを解説




先日、instagramで

「飲み残した炭酸水で台所の油汚れがよく落ちる!」

という投稿を見て、びっくりしました。

 

おいおいおいおいおい!!!です。

 

調べてみると、炭酸水で油汚れがすっきり!という記事が見つかります。

しかし、よくよく見ていると、どうも何かの記事を誤った内容のまま転載し、それを更に転載されたような感じです。

アフィリエイターの方が、コピペで問題ある記事を量産していますね。

記事によっては、炭酸水の作り方で重曹を使っていますし(汗)

 

ということで、今回はお掃除に役立つ「炭酸」シリーズについて解説していきますね。

 

まずは用語から。

1.炭酸

2.タンサン

3.炭酸ソーダ

これ、すべて違うものです!

 

1.炭酸(酸性)

化学式はCO2、日本語で二酸化炭素のことです。

炭酸飲料に入っているのは、この二酸化炭素です。

炭酸水に入っているのも、もちろん、二酸化炭素です。

あのシュワシュワ泡ですね。

PHは5程度

つまり「酸性」です。(中性は7です。)


アサヒ飲料 ウィルキンソン 炭酸水

 

2.タンサン(アルカリ性)

これは商品名なのですが、中に入っているものは重曹です。

化学式はNaHCO3、日本語で炭酸水素ナトリウムのことです。

PHは8.2程度

つまり「アルカリ性」です。(中性は7です。)

蒸しパンやどら焼を作る際に、ベーキングパウダーのように使いますが、

これは「加熱」することにより化学反応が起こり

炭酸水素ナトリウム → 水+二酸化炭素+炭酸ナトリウム

分解されて、二酸化炭素(炭酸)が発生して発泡するからです。

つまり、タンサン(炭酸水素ナトリウム)は、炭酸とは全く違うということです。

(水にタンサン(炭酸水素ナトリウム)を溶かしても、炭酸水にはなりません。)


三幸 タンサン(重曹) 150g

 

3.炭酸ソーダ(アルカリ性)

炭酸ソーダは、言葉不足ですが、セスキ炭酸ソーダのことを言います。

正式名称は、セスキ炭酸ナトリウム

化学式はNa2CO3・NaHCO3·2H2O、日本語では、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの複塩です。

PHは9.8程度

弱アルカリ性ですが、重曹よりも「アルカリ性」が強くなります。(中性は7です。)


セスキ炭酸ソーダ アルカリ洗浄剤 NICHIGA

 

※ちなみに、似たような言葉で、「苛性ソーダ」というものがありますが、こちらは水酸化ナトリウム、化学式はNaOH、PHは14程度の強アルカリ性の物質です。全く違います。

 

ということで、

「炭酸」と「タンサン」と「炭酸ソーダ」は全く違うもの

ということがわかっていただけたかと思います。

 

さて、ここから本題です!

 

酸性の汚れ と アルカリ性の汚れ の違い

汚れは大きく分けると

・酸性の汚れ

・アルカリ性の汚れ

の2種類に分かれます。

 

酸性の汚れ

油汚れ、皮脂汚れ、タンパク質汚れ、血液汚れ、生ゴミの臭い など

 

アルカリ性の汚れ

水垢汚れ、石けんカス、カルキ(ポットの水垢)、アンモニア臭、魚の臭い、タバコの臭い など

 

掃除とは、この酸性やアルカリ性の汚れを「中和」して落とすことです。

つまり

酸性の汚れ には アルカリ性の洗剤

アルカリ性の汚れ には 酸性の洗剤

を使うと、汚れが落ちやすいということですね。

 

さて、最初に出した「炭酸水で台所の油汚れがよく落ちる!」という投稿

油汚れ は 酸性の汚れ

炭酸水 は 酸性の液体

ですよね。

つまり、汚れの中和は不可能、この投稿は全くのウソ!ということになります。

 

とはいうものの、実際に掃除で使っておられましたので、

これは、油汚れが中和されたのではなく、水拭きで油汚れを物理的に取り除いたということですね。

油汚れが固まっていないうちに掃除をされる、こまめな掃除をされている方ということですね。素晴らしいです。

 

お手軽なお掃除洗剤として、重曹クエン酸が販売されています。

クエン酸のPHは2~3程度

つまり、炭酸より酸性が強いということになります。

アルカリ性の汚れを落とすには、炭酸水よりクエン酸水の方が効果が高いということですね。

 

さて、まとめますと、

 

酸性の汚れ

油汚れ、皮脂汚れ、タンパク質汚れ、血液汚れ、生ゴミの臭い など

→ アルカリ性の重曹やセスキ炭酸ソーダでお掃除

 

アルカリ性の汚れ

水垢汚れ、石けんカス、カルキ(ポットの水垢)、アンモニア臭、魚の臭い、タバコの臭い など

→ 酸性の炭酸やクエン酸でお掃除

 

とうことになります。

 

注意点としましては、

・重曹は水に溶けにくいため、拭き残しが起こりやすい
(ただし、溶けにくさを活かして、クレンザーとして使うことも可能)

・セスキ炭酸ソーダは弱アルカリとはいえ、アルカリ性が強いので、手袋が必須

ということでしょうか。

アルカリ性洗剤はタンパク質汚れに強い、ということは、私たちの皮膚の成分であるタンパク質も分解してしまうということです。

手荒れに気をつけてくださいね。

 

ということで、汚れの性質と、洗剤の性質をしっかり把握して、効果的なお掃除をしていきましょう!

炭酸水はお掃除ではなく、美味しく飲んで楽しみましょう!

 

HOUSEリサーチ運営事業部
いっしー
家を建てることで、様々な家の基本知識を学ぶ。
数多くの注文住宅を内見し、住宅系の書籍は大半を読破。
宅建士まで受験。
住宅会社・設計事務所の皆さまにご教授いただきながら、家について楽しく学んでいます。

 

HOUSEリサーチ 新築住宅情報センター
※プロの皆さま、このコラムは家の素人が、建築家の皆さまに教えていただいたり、書籍等で勉強したりした内容を記載しております。
間違いや修正事項がございましたら、ぜひ、ご指摘いただければと思います。

 




 

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