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家の性能って何でしょう?【シックハウス】編




えーっと、家の性能を勉強すればするほど、よくわからなくなってきました(汗)

 

今回は、シックハウス関連について。

わかりやすーくご説明したいのですが、どうしても教科書的になってしまいます・・・。

 

まずは、シックハウス症候群から。

シックハウス症候群とは、wikipediaの説明では、

新築の住居などで起こる、倦怠感・めまい・頭痛・湿疹・のどの痛み・呼吸器疾患などの症状があらわれる体調不良の呼び名。

となります。

 

2000年前後に大問題となり、
平成15年(2003年)7月1日に、

「建築基準法に基づくシックハウス対策について」

が施行されました。
通称「シックハウス法」というやつです。

 

昔は、新築の家に入ると、頭が痛くなったり、目が痛くなったり、鼻や喉が痛くなったりしていましたよね。
今でも時々、痛くなる建物に出会うこともあります(汗)が、かなり少なくなりましたよね。

 

シックハウス症候群は、建材に使われている物質や、ボンド等に使われている物質が原因です。

家を建てるために、様々な便利な建材が開発されたことと、
高気密・高断熱の家になってしまったがために、原因物質が溜まりやすい家になってしまったことが大きな要因です。

 

何かが良くなると、何かに不都合が生じる・・・難しいですよね。

 

ちなみに、そのために高気密・高断熱の家では24時間の機械換気が義務付けられるようになりました。

 

さて、厚生労働省ではシックハウスの原因となる物質として、
このとき13種類の揮発性有機化合物の濃度指針値を示しました。
(揮発性有機化合物というのは、空気中に気体となって広がっていく物質のことです。
気体になりますと、臭いし、吸い込みますし、体内に入ってそれが悪影響を及ぼすこともあるわけです。)

【13種類の有機化合物】

・ホルムアルデヒド
・アセトアルデヒド
・トルエン
・キシレン
・エチルベンゼン
・スチレン
・パラジクロロベンゼン
・クロルピリホス
・テトラデカン
・フタル酸ジ-n-ブチル
・フタル酸ジ-2-エチルヘキシル
・ダイアジノン
・フェノブカルブ

2017年には3種類が追加され、合計16種類になりました。

・2-エチル-1-ヘキサノール
・テキサノール
・2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート(TXIB)

 

このとき、既存の4種類の物質の濃度が厳しくなっています。

・キシレン 870→200
・エチルベンゼン 3800→58
・フタル酸ジ-n-ブチル 220→17
・フタル酸ジ-2-エチルヘキシル 120→100

特にエチルベンジンの指針値の変更はすごいですよね!

エチルベンゼンは、発がん性や胎児への影響等の有害性があるということで、このように劇的に指針値が下げられました。
ということは、2017年以前はどうだったのでしょう???

 

室内濃度の指針値とは、

現時点で入手可能な毒性に係る科学的知見から、ヒトがその濃度の空気を一生涯にわたって摂取しても、健康への有害な影響は受けないであろうと判断される値を算出したもの。

ということだそうです。

 

さて、ここで重要なお知らせなのですが・・・

なんとなんと、

使用量が制限されているのは
「ホルムアルデヒド」「クロルピリホス」
の2種類だけ

なのです!

ホルムアルデヒド・・・合板、パーディクルボード、壁紙用接着剤等に用いられる合成樹脂の接着剤
クロルピリホス・・・しろあり駆除剤の一種

その他の物質に関しては、指針値が示されているだけで罰則はありません。

うーん・・・・・・素人からすると本当に不思議です!

 

住宅性能表示制度においても、

室内空気中の化学物質の濃度等(竣工時の居室の化学物質濃度がどのくらいか)

において、

濃度を測定する物質は、
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンの6物質

と記載されています。

16物質中の6物質のみの測定なのですよね。

 

しかも、ホルムアルデヒド以外は、

・濃度測定値の高低の観点から級数など評価は行わない
・測定等の費用は通常の住宅性能表示の料金とは別にオプションとして必要とするお客様の選択制

ということで、住宅性能評価においても「任意」なのですよね。

 

さて、最近よく見かけるものに「F☆☆☆☆」(Fフォースター)等の、Fに☆が並んだ記載があります。

「うちは建材にF☆☆☆☆を使っているから安心ですよ!」

という案内ですね。

 

この「F☆☆☆☆」というのは「ホルムアルデヒド」のみに関する表記となります。

住宅性能表示制度の「空気環境に関すること」では3つの項目が定められています。

1.ホルムアルデヒド対策(内装及び天井裏)(どの程度ホルムアルデヒド放散量の少ない建材を使用したか)
2.換気対策(住宅全体で必要な換気量を確保できる対策を行っているのかどうか)
3.室内空気中の化学物質の濃度等(竣工時の居室の化学物質濃度がどのくらいか)

 

F○○は、ホルムアルデヒドのホルムアルデヒド放散等級でJIS、JAS等の表示記号になります。

F☆☆☆☆
最大値0.4mg/L、平均値0.3mg/L
内装仕上げにおいて制限なしに使える

F☆☆☆
最大値0.7mg/L、平均値0.5mg/L
内装仕上げにおいて使用面積が制限される

F☆☆
最大値2.1mg/L、平均値1.5mg/L
内装仕上げにおいて使用面積が制限される

F☆
最大値7.0mg/L、平均値5.0mg/L
内装仕上げにおいて使用禁止

 

住宅性能表示制度の「空気環境に関すること」では、

【ホルムアルデヒド放散等級】

等級3(内装、天井裏等)
ホルムアルデヒドの発散量が極めて少ない
(日本工業規格又は日本農林規格のF☆☆☆☆等級相当以上)

等級2(内装、天井裏等)
ホルムアルデヒドの発散量が少ない
(日本工業規格又は日本農林規格のF☆☆☆等級相当以上)

と定められています。

 

ここで大切なことは、
「F☆☆☆☆」の表記であっても、
最大値0.4mg/L、平均値0.3mg/Lぐらいのホルムアルデヒドは出ている
ということなのですよね。

ホルムアルデヒドは、C(炭素)とH(水素)とO(酸素)という、世の中の基本構成物質でできた、こんなシンプルな物質なのに、人間にとって毒になってしまうのが不思議ですよね。

 

ここで揮発性有機化合物について軽くまとめてみますと、

・「F」シリーズは、あくまで16物質の中の「ホルムアルデヒド」についてのみ

・その他の揮発性有機化合物がどのくらい出ているのかはわからない

・「F」シリーズが「F☆☆☆☆」であっても、一定の「ホルムアルデヒド」は出ている

・16物質以外にもいろいろ出ているけど、濃度指針値は示されていない

ということです。

 

うーん、まとめると、ちょっと怖くなりますが、
ボードや壁紙やボンドや断熱材等、本当に様々な商品が出たおかげで、自分好みのデザインにもできるし、施工期間も短縮されるわけで・・・。
(施工期間が短縮すると、住宅ローンの利息や、建築中の家賃の削減等のメリットもありますよね!)

本当に難しい問題です。

 

また、

「ある化学物質を規制すると、別の化学物質が使われて新たなシックハウスを起こす」

という「いたちごっこ」も続いております。

これは、食べ物の世界の添加剤の世界でも同じですよね(汗)

 

最後にですが、

今の新しい家の造り方は怖いので、漆喰や珪藻土や無垢の木を使って家を建てます!

という方。

実はこれも「安全・安心」という訳ではないそうです。

 

これは、自然素材を使った家を造られている建築家から聞いたお話ですが、

・漆喰やモルタルも、ボンドを入れて練るところもあるので、そのボンドから揮発性有機化合物は出ていることも

・壁紙に「紙」や「布」を使っても、貼るためにボンドを使う

・そもそも珪藻土は固まらないのでボンドは必須

・畳にイ草を使うことで、ダニの住処となることも

・木には揮発性の油があるため、無垢の木を使っても、その成分の過敏症になることもある

ということで、自然素材+職人の技術が大切ですし、また、きちんとした知識も大切、とのことでした。

自然素材アンチの意見ではなく、自然素材の専門家の意見でしたので、なるほどでした。

 

【シックハウスの結論】

・揮発性物質はどうやっても少しは出ている、という認識が大切

 

HOUSEリサーチ運営事業部
いっしー
家を建てることで、様々な家の基本知識を学ぶ。
数多くの注文住宅を内見し、住宅系の書籍は大半を読破。
宅建士まで受験。
住宅会社・設計事務所の皆さまにご教授いただきながら、家について楽しく学んでいます。

 

HOUSEリサーチ 新築住宅情報センター
※プロの皆さま、このコラムは家の素人が、建築家の皆さまに教えていただいたり、書籍等で勉強したりした内容を記載しております。
間違いや修正事項がございましたら、ぜひ、ご指摘いただければと思います。

 


 

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