家を建てようと思った際に、デザインはもちろんなのですが、やはり家の性能にもこだわりたいですよね。
「高性能住宅」
「ワンランク上の性能」
など、いろいろなキャッチフレーズをみかけますが、そもそも家の性能って何をもって考えるのでしょうか?
実は「HOUSEリサーチ」には、家の性能評価で施工例や建築家を探していく機能がありません!
本当は機能としてつけようと思っていたのですが、
なんとなんと、
家の性能を比べる共通項目がないのですよね・・・(汗)
では、何をもって家の性能を考えれば良いのでしょうか?
今回から、何回かにわけて「家の性能」について考えてみたいと思います。
まずは、大きなお話から。
【省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)】
省エネについては、国の定める基準があります。
省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)では、
旧省エネ基準 1980年制定
新省エネ基準 1992年制定
次世代省エネ基準 1999年制定
改正省エネ基準 2012年制定 ← 今ココ
と、新しい基準に変化しております。
ちなみに、改正省エネ基準は現在は強制力はないのですが、2020年に義務化されることが決まっています。
(なんと、義務化されませんでした!)
次世代省エネ基準と改正省エネ基準の内容はほぼ同じだそうで、それにプラスして、一次エネルギー消費量に関する基準ができたとのことです。
素人にはよくわかりにくいのですが、改正省エネ基準を大雑把にまとめると、
・地域区分は「Ⅰ~Ⅵ」の6区分から「1~8」の8区分に変更されました。
地域区分はこちらを参考
http://www.mitsubishielectric.co.jp/ldg/ja/air/products/ventilationfan/about/pdf/locate.pdf
(三菱電機さんのページ)
数字が小さい地域が寒い地域となります。
例)
北海道 1、2
沖縄県 8
・住宅の外皮性能について
「外皮平均熱貫流率(UA値)」・・・冬を想定
「冷房期の平均日射熱取得率(ηA値)」・・・夏を想定
を用いるようになりました。
次世代省エネ基準では、
熱損失係数(Q値)・・・冬を想定
夏季日射熱取得係数(μ値)・・・夏を想定
でしたが、
改正省エネ基準では、
外皮平均熱貫流率(UA値)・・・冬を想定
冷房期の平均日射熱取得率(ηA値)・・・夏を想定
に変更されました。
ちなみに、
地域区分8では、UA値の基準が設けられていません。
地域区分1~4では、ηA値の基準が設けられていません。
簡単に言いますと、各地域に対応した、UA値、ηA値の基準を満たしましょう!
そうずれば、夏も冬も快適になるはず!
という基準です。
ちなみに、(興味がある方のみ見てください。)
外皮平均熱貫流率(UA値)[W/㎡K]=建物が損失する熱量の合計[W/K]÷外皮等面積[㎡]
建物が損失する熱量の合計[W/K]=A+B+C+D+E
A:屋根(天井)の熱損失量
屋根(天井)のU値×屋根(天井)の面積×温度差係数
B:外壁の熱損失量
外壁のU値×外壁の面積×温度差係数
C:床の熱損失量
床のU値×床の面積×温度差係数
D:開口の熱損失量
開口のU値×開口の面積×温度差係数
E:基礎立上りの熱損失量
基礎立上りのU値×基礎の外周長×温度差係数
外皮等面積[㎡]
=屋根(天井)面積+外壁面積+床面積+開口面積+土間床面積
熱貫流率(U値)
建物内外の温度差1℃の場合において1㎡当たり貫流する熱量をワット(W)で示した数値。
数値が小さいほど熱を伝えにくく、断熱性能が高い。
温度差係数
外気 1.0
外気に通じる小屋裏 1.0
外気に通じる床裏 0.7
もう、何の計算なのかよくわかりませんが、おおざっぱに言いますと、
建物すべてから逃げていく熱の量を、建物が外気に接している部分の総面積、で割ったもの。
すなわち、面積あたりで逃げていく熱の量の指標となります。
UA値が小さいほど、熱が逃げにくい、断熱性能が良い、ということになりますね。
・一次エネルギー消費量に関する基準ができました。
一次エネルギーとは、自然界から得られた変換加工しないエネルギーのこと、だそうです。
石油、石炭、天然ガス、ウラン、太陽光、水力、風力などのことです。
二次エネルギーとは、一次エネルギーを加工してつくられたエネルギーのこと。
電気、ガソリン、灯油、都市ガス、燃料電池の水素などのことです。
建てようとする住宅の設計エネルギー消費量が、基準一次エネルギー消費量を超えなければ適合していると見なされます。
基準一次エネルギー消費量とは、平成24年時の標準的な効率の、冷暖房設備、換気設備、給湯設備、照明設備を使用した際のエネルギー消費量のことをいいます。
平成24年より、設計段階でエネルギー消費量が少なくなるように計画しましょう!という考え方です。
一次エネルギー消費量等級という指標があり、
等級5 低炭素建築物認定基準
等級4 平成25年基準(改正省エネ基準)
等級3 なし
等級2 なし
等級1 その他
となっています。
ちなみに、等級によって、フラット35での金利が変わります!
平成28年4月以降では、等級4はフラット35Sの金利Bプラン、等級5でフラット35Sの等級Aプランが利用可能です。
【省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)】に関する基準は、
読んでいても、書いていても頭が痛くなりますが、
「外皮平均熱貫流率(UA値)」・・・冬を想定
「冷房期の平均日射熱取得率」・・・夏を想定
「設計一次エネルギー消費量」
という3つの指標が、省エネの評価を行うための指標となっている、ということだけ知っていただければ十分かと思います。
もっと詳しく知りたい方は、
国土交通省の
住宅・建築物の省エネルギー基準
(エネルギーの使用の合理化に関する
建築主及び特定建築物の所有者の判断の基準)
平成25年改正のポイント
をご覧くださいね。
ちなみに・・・ですが、
「外皮平均熱貫流率(UA値)」は計算で出すことができますので、設計段階で調整が可能です。
ただし、施工の丁寧さとは無関係ですので、実際に建った家の性能がどうか?という保証はありません。
「設計一次エネルギー消費量」を下げるためには、基本的に今の電化製品(冷暖房設備、換気設備、給湯設備、照明設備)を使っておくと、基本的にパスできる仕組みなっております。
電化製品、進化していますので!
【改正省エネ基準編の結論】
・UA値は、家の性能を比べる、一つの基準になる。
家の性能をちゃんと考えるならば、できれば、C値(隙間相当面積)を実測してほしいですね。
※C値については、この記事では触れておりません。
いっしー
家を建てることで、様々な家の基本知識を学ぶ。
数多くの注文住宅を内見し、住宅系の書籍は大半を読破。
宅建士まで受験。
住宅会社・設計事務所の皆さまにご教授いただきながら、家について楽しく学んでいます。
HOUSEリサーチ 新築住宅情報センター
※プロの皆さま、このコラムは家の素人が、建築家の皆さまに教えていただいたり、書籍等で勉強したりした内容を記載しております。
間違いや修正事項がございましたら、ぜひ、ご指摘いただければと思います。
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