固定価格買い取り制度(FIT)
エネルギーの買い取り価格を法律で定める方式の助成制度のことをいいます。
最近では、太陽光発電の電気買取のことを指すケースが多いですよね。
太陽光発電の住宅用買取価格(余剰買取・税込み)は、ご存知の通り、年々下がり続けています。
2010年度 48円/kWh
2011年度 42円/kWh
2012年度 42円/kWh
2013年度 38円/kWh
2014年度 37円/kWh
2015年度 33円/kWh
2016年度 31円/kWh
2017年度 28円/kWh
2018年度 26円/kWh
2019年度 24円/kWh
2020年度 21円/kWh
2021年度 19円/kWh
2022年度 17円/kWh
2023年度 16円/kWh
制度開始時と比べると40%以下になっていますね。
ただ、普及に伴い、太陽光発電ユニットの値段も下がっていますので、
結局、得なの?損なの?
と、家を建てる際に、太陽光発電を載せるべきか、載せないべきか、と悩むところです。
住宅用の場合は買取期間は10年間。
じゃぁ、11年目からどうなるの?
発電した電気は、自分たちの電気としても使えるのですよね?(自家消費)
と、太陽光発電についてちゃんとわかっていないまま検討されている方も見受けます。
はい。私もそうでした!
ということで、今回は太陽光発電について書いてみます。
住宅用の電気の余剰買取というのは、
発電した電気量のうち、自宅で使用した電気量を除いた部分を買取ります
という制度です。
では、自宅で使用した電気量を買い取ってくれるということは、電気代はゼロってこと?
というと、そうではありません。
この図を見てください。
太陽光発電は、その名の通り、太陽の光を使って発電しますので、日光が当たっている時間しか発電しません。
それに対して、自宅で使用する電気は、一般的には夜に多く、夜間も少しずつですが使い続けています。
太陽光パネルで発電した電気は、自宅で使う分を除いて、電線へと流れていきます。
(この時に測定しています。)
すなわち、夜間の発電していない時間は、自宅で使う電気は電線からもらわなければなりません。
つまり、電気を購入しなければならない、ということですね。
だから、太陽光発電をしているからといって、使用する電気代がゼロになることはありません。
基本料金もかかりますしね。
購入する電気代は契約によって多少変わりますが、夜間電力の価格がメインとなります。
売電する価格は、契約年度によって決められた固定価格となります。
自宅で使用する電気量は決まっていますので、
太陽光パネルを載せれば載せるほど(10kWまで)、売電収入が増えてくる
というわけですね。
あとは、太陽光パネルの代金+設置料金と、売電収入とのバランスで、得か損かとなってきます。
では、売電収入って、1ヶ月にどのくらいになるのでしょうか?
太陽光は、夏が高く長く、冬は低く短いため、売電収入も夏が高く、冬は少なくなります。
おおざっぱに計算をしますと、自家消費を除いて考えて、
太陽光パネル1kWあたり年間1,000kWhの発電となります。
住宅用買取価格は、2018年度は26円/kWh。
すなわち、太陽光パネルを4kW載せていた場合、
1,000kWh/年×26円/kWh×4=104,000円/年
の売電収入となります。
1ヶ月で約8,700円の売電収入です。
この金額に、自家消費で浮いた電気代(平均月4,000円?と仮定)を加えると、毎月約12,700円の収入といえます。
太陽光パネルを6kWを載せていた場合は
1,000kWh/年×26円/kWh×6=156,000円/年
1ヶ月で約13,000円の売電収入です。
自家消費電気代を加えると、毎月約17,000円の収入といえます。
太陽光パネルを8kWを載せていた場合は
1,000kWh/年×26円/kWh×8=208,000円/年
1ヶ月で約17,300円の売電収入です。
自家消費電気代を加えると、毎月約21,300円の収入といえます。
※2019年度は24円/kWhとなりますので、上記の数字を26で割って、24を掛けてみてください。
損得を考える際には、
太陽光パネルを4kW載せていた場合、
12,700円×12ヶ月×10年=1,524,000円
太陽光パネルを6kW載せていた場合、
17,000円×12ヶ月×10年=2,040,000円
太陽光パネルを8kWを載せていた場合、
21,300円×12ヶ月×10年=2,556,000円
となり、太陽光パネルの設置にかかる費用が、この金額以下であるならば設置すると得になります。
一応ですが、10年目ぐらいにパワーコンディショナーの交換が必要となります。
容量によりますが、30~40万円ぐらい必要ですので、この価格も考慮してください。
さて、10年経過するとどうなるのでしょうか?
固定価格買い取り制度は終了となります。
その際は、自家消費で浮いた電気代(平均月4,000円?と仮定)が、毎月軽減されることとなります。
年間約5万円、10年間で50万円弱の節約をすることが可能です。
また、新電力会社等が、買取期間終了後にも電気を買取ってくれるケースもあります。
この時の買取価格は1kWhあたり、7~10円と言われています。
すなわち、太陽光パネル1kWあたり、年間7,000~10,000円で売電することができる可能性があります。
11年目~20年目までの10年間で、1kWあたり7~10万円の売電収入となります。
4kWを屋根に載せていたら
11年目~20年目までの10年間で28~40万円
9kWを屋根に載せていたら
11年目~20年目までの10年間で63~90万円
という感じでしょうか。
月々で考えるとわずかになってしまうのですが、
長期で見ると、悪くないのかもしれません。
電力自由化!買電先だけでなく売電先を考えよう!(卒FIT住宅の電気買取り価格)太陽光発電設置の方は必読です。
(参考)
住宅用太陽光発電設備のFIT買取期間終了に向けた対応
資源エネルギー庁の資料(2018年9月12日)
もう一つ、今後の家庭用蓄電池に期待です!
昼間作った電気を蓄電池に蓄え、夜間に使うという方法です。
現在最も低価格の家庭用蓄電池を販売しているテスラのサイトによりますと、
家庭で1日に使用する電気量は、
1部屋 5kWh/日
2部屋 10kWh/日
3部屋 15kWh/日
4部屋 20kWh/日
5部屋 30kWh/日
6部屋 40kWh/日
となっております。
固定買取期間終了後は、昼間の発電を蓄電池に蓄えて、夜使うことができれば理想ですね。
今後、家庭用蓄電池が大容量でいかに安くなるのかが課題です。
家庭用蓄電池の寿命は10年ですので、10年分の節約電気代と蓄電池設置料金のバランスの計算が大切です。
ただ、こちらは徐々に、良いものが安く提供されてくると思います。
昼間は仕事等で発電を蓄えることが難しいのですが、
実は、電気自動車を持っている場合、搭載されている電池容量は実はとても大きいのですよね。
だいたい2日分の電気を賄えると言われています。
上記の計算とも合いますね。
充電に必要なコストは、電化住宅の深夜電力で最大約250円程度ですので、
1ヶ月に約3,000円で、万一の際に2日間過ごすことが可能です。
電気自動車が普及すると、家庭のエネルギーの考え方も変わってくるのでしょうね。
※日産のLEAF等の電気自動車を家の電気として使う場合は、専用のパワーコンディショナの設置が必要です。
ということで、太陽光発電について、おおまかにまとめてみました。
ポイントは、11年目からの活用かなぁと思います。
ZEHの考え方は、その名の通り、ゼロ・エネルギー・ハウス(プラスマイナスゼロという意味)です。
太陽光発電ありきの考え方ですが、我が家はどうするべきなのか?しっかりと考えていきましょう!
※今回の話は「家庭用」ですので、10kW以上搭載する事業用の場合は、別の計算になります。
◎太陽光発電についてはこちらもご参照ください
いっしー
家を建てることで、様々な家の基本知識を学ぶ。
数多くの注文住宅を内見し、住宅系の書籍は大半を読破。
宅建士まで受験。
住宅会社・設計事務所の皆さまにご教授いただきながら、家について楽しく学んでいます。
※プロの皆さま、このコラムは家の素人が、建築家の皆さまに教えていただいたり、書籍等で勉強したりした内容を記載しております。
間違いや修正事項がございましたら、ぜひ、ご指摘いただければと思います。
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