太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)のおかげで、あちこちの家の屋根に「太陽光電池」が載ってきました。
こんなに太陽光電池ばかりでは家の景観的にどうなのだろう???と思うこともありますが、本当に普及してきたなぁと思い
ます。
太陽光発電を検討する場合の「営業トーク」として、次の2つがあります。
1.太陽光で発電した電気を売って、月々の住宅ローンを軽減しましょう!
(ZEHの補助金をもらいましょう!も含むことにします。)
2.災害時(停電時)でも安心して電気が使えるよう、太陽光発電をしましょう!
1.に関しては、こちらをご参照ください。
太陽光発電ってお得なの?私もわからなかったので勉強してみました!
今回は、2.に関して、しっかりと考えてみます。
そもそもなのですが、
使用する電気と、太陽光発電の関係はこのようなグラフイメージになります。
昼間の発電量に比べて、使用量はとても少ないということがわかります。
ということは、
「電気が止まったとしても、日中は問題なく家の電気は使えますよね♪」
と思うのですが・・・
なんと、そうではないのです!
そういえば、太陽光発電の検討の際に、
「災害時には、自立運転用コンセントがありますので、このコンセントから電気が使えます!」
という説明を受けるのですね。
自立運転用コンセントは1ヶ所のみ!
つまり、すべての電気はストップして、この自立運転用コンセント1ヶ所を利用した家電しか使えない!ということなのですね。
(パワーコンディショナの自立運転モードへの切り替え方が必要です。)
「んんん??? どうして、日中は発電量がたっぷりあるのに、自家消費した後に売るほど発電するのに、普通に電気が使えないの???」
と、思う訳ですね。
私、この質問を多くの方にしてきたのですが、なんと、誰もきちんと回答してくれないのですね(汗)
しかも、この1ヶ所の自立コンセント、なんと使える消費電力は1500wまでなのです!
各種家電の消費電力を並べてみます。
こちらを参考にさせていただきました。
電子レンジ 1300W
炊飯器 350W~1200W
珈琲メーカー 450W~650W
オーブントースター 1200W~1350W
冷蔵庫 150W~500W
洗濯機 500W~900W
エアコン 45W~2000W
扇風機 50W~60W
こたつ 600W~800W
テレビ 300~500
ドライヤー 600W~1200W
ノートパソコン 50W~120W
携帯電話(充電時) 15W
コンセントは2口ですが、蛸足をするにしても、これらの家電を組み合わせて「1500wを大きく下回る」ように使用しなければなりません。
1500wを一瞬でも上回った時点で、すべての家電が落ちてしまいます。
落ちてしまうと、復旧もなかなか面倒です。
洗濯と料理の同時並行は難しそうです(汗)
扇風機以外の冷暖房も我慢せねばですね。
しかも、自立運転用コンセントに延長コードで届く範囲でしか家電が使えません・・・。
うーん、とっても不便。
そこで、先ほどの質問です。
「んんん??? どうして、日中は発電量がたっぷりあるのに、自家消費した後に売るほど発電するのに、普通に電気が使えないの???」
はい。調べまくりました。
わかったこととして、たぶん、このあたりが理由です。
・停電した時点でパワーコンディショナが使えなくなるので、太陽光発電の電気を使えない
・太陽光発電の電気でパワーコンディショナを動かせたとしても、発電量には大きなムラがあり、太陽が雲に隠れた時点で電気が不足し、すべての家電が落ちる。
(一度、落ちてしまうと、パワーコンディショナの復旧がなかなか面倒。)
・同じ理由で、曇りの日、雨の日、晴天でも朝と夕方に家電の使用を制限しなければ、すべての家電が落ちる。
・停電により電線に電気が通っていない状態で、家から電線に余剰電気を送電していると、復旧作業がとっても危険!
現状では、太陽光発電で「自立した生活」というのは、なかなか難しいのですね。
これを解消するためには、安くて大容量の蓄電池の普及を待たねばなりません。
日産のLEAF等の電気自動車がある場合は、家の電気としても使えますが、専用のパワーコンディショナの設置が必要です。
このあたり、早く、規格化して標準装備にしてほしいですね。
あっ、その前に電気自動車の普及促進という問題がありました(泣)
ということで、結論ですが、
「災害時(停電時)に太陽光発電は日中のみわずかに役立つかも!」
もう少し、時代が経てばなんとかなるかもですね。
(追伸)Youtubeで、災害時の太陽光発電の無効性について明言されている、工務店さんの解説動画を見つけました!ご参考ください。
ちなみにですが、災害時に復旧が一番早いのは「電気」と言われています。
◎復旧までの日数
【阪神・淡路大震災(平成7年1月17日)】
電気:約6日、ガス:約70日、水道:80日
https://web.pref.hyogo.lg.jp/pa17/pa17_000000002.html
【新潟中越地震(平成19年7月16日)】
電気:約2日、ガス:約40日、水道:20日
http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/lifeline1908271100,0.pdf
最大1週間を乗り切ることができれば、エネルギー使用に関しては、オール電化住宅は安心といえるのかもしれません。
あっ、太陽光発電、関係ないですね(汗)
↓一段上の対策!こちらもご参考ください。
蓄電池ってどうなの?太陽光発電との相性は?結論:太陽光パネル+蓄電池はあり!
いっしー
家を建てることで、様々な家の基本知識を学ぶ。
数多くの注文住宅を内見し、住宅系の書籍は大半を読破。
宅建士まで受験。
住宅会社・設計事務所の皆さまにご教授いただきながら、家について楽しく学んでいます。
※プロの皆さま、このコラムは家の素人が、建築家の皆さまに教えていただいたり、書籍等で勉強したりした内容を記載しております。
間違いや修正事項がございましたら、ぜひ、ご指摘いただければと思います。
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