家を建てたい人のための情報マガジン





住宅価格が上がってくると、家を建てる際に予算との相談が厳しくなってきますよね。

建物の延床面積を小さくする、土地を狭くする、親からの援助を受ける、借入期間を伸ばすなどいろいろな対策がありますね。

もう一つの対策が、「夫婦で借りて、夫婦で働いて返す」ペアローンです。

今回のコラムではペアローンのメリット・デメリットについて解説していきます。

 

ペアローンって何?

夫婦それぞれが住宅ローンを組み、住宅を購入する方式です。

例えば3000万円の家を購入する際に、夫2000万円、妻1000万円の住宅ローンをそれぞれ組んで、お金を借りるということ。
夫婦で購入するので、土地や家の名義(登記)は夫婦の共同名義となります。

今回のケースでは、夫が3分の2、妻が3分の1の所有権を持つ登記となります。
固定資産税も、所有権の割合に応じて、夫婦それぞれが支払います。
(合計金額は同じです)

 

ペアローンのメリット

まずは、ペアローンのメリットは何でしょうか?

1.住宅ローン借入額を増やせる

家はお金を借りて建てるものです。
つまり予算があるほど、理想の家に近づきます。
夫のみの収入では難しかったことが、妻の収入を足すことにより可能となります。
夫婦がそれぞれの収入に応じて住宅ローンを借りるので、総額が大きくなり、より理想の家を建てることができます。
ペアローンの大きな魅力です。

2.住宅ローン控除が夫婦2人ともに使える

住宅ローンの「金利分」を、給与の税金から戻してくれる制度が「住宅ローン控除」です。
現在、新築住宅で13年間、中古住宅10年間もの間、税金を返してくれる素晴らしい仕組みです。
住宅ローン残高の0.7%が税金から控除されて戻ってきます。
夫婦それぞれが住宅ローンを借りているため、夫婦共に住宅ローン控除を利用することができるのでありがたいですよね。

 

ペアローンのデメリット

何もなければデメリットはないとも言えるのですが、人生は山あり谷あり。
逆に言えば、何かあればデメリットは大きいと言えます。

1.住宅ローンの融資事務手数料や諸経費が2契約分かかる

住宅ローンを借りる際には、融資事務手数料などのお金が必要です。
夫婦がそれぞれ住宅ローンを組むため、融資事務手数料もそれぞれ必要になります。
(そもそも融資事務手数料というのは利息の別名払いの意味もあるのですが…)

2.夫婦相互に連帯保証人になる必要がある

相互に連帯保証人ですので、夫が払えない場合は妻が、妻が払えない場合は夫が払うことになります。

3.土地建物が共有名義となる

出した金額(住宅ローン含む)の比率で、土地・建物の持ち分割合がきまります。
今後、売却する際には夫婦の合意が必要となります。

4.離婚時にトラブルになりやすい

2.3で問題になるのが離婚時です。
離婚の際には、一方が家を出ていくケースが大半です。
住宅ローンは残りますので、出ていった方は家賃の二重払いになってしまいます。
住宅ローンの1本化は検討しますが、2人の収入を前提の住宅ローンを1人で返済するのは不可能に近いといえます。

5.夫婦どちらかの収入が減ると返済が厳しくなる

不況で給与の手当や残業代が減った場合、賞与が減った場合は、返済が厳しくなるのはわかりやすいですよね。
ペアローンの場合、例えば子育てをするにあたって、育児休暇中も住宅ローンが発生します。
子育てと仕事の両立が大変になっても、仕事を辞めることはできません。
病気やケガや事故が起こった場合も、夫婦共に住宅ローンの返済は続きます。
(団体信用生命保険のオプション・特約は重要!)

6.夫婦の一方が亡くなっても、もう一方のローン返済が残る
(ペアローン団信で対応可)

夫婦のどちらかに不幸があった場合、一方分の住宅ローンは団体信用保険で債務がゼロになります。
しかし、もう一方は住宅ローンが残ります。
これは、1人で住宅ローンを組んでも同じことですね。
ただし、新しく「ペアローン団信」という生命保険が誕生しました。
この商品は、一方が亡くなった場合、もう一方の住宅ローンも保険で支払われます。
ペアローンを組む場合は、ペアローン団信の加入はお薦めです!
(所得税が発生することがあります)

 

ペアローンを組む際の「覚悟」

ペアローンのメリットデメリットがわかると、ペアローンを組む際にはある種の「覚悟」が必要なことがわかります。

・絶対に離婚しない

これは必須事項です。
長い夫婦生活、色々なことがありますが、相手を思いやり、仲良く暮らしていくことが重要です。
ペアローンの場合、離婚すると、とても大変な状況になってしまいます。

・返済終了まで正社員で共働き(子育てしても)

これも必須事項です。
特に妻側にかなり強い覚悟が必要です。
子どもが生まれると、未就学児は、保育園、行事、発熱と、様々なことが起こります。
小学校に入っても、下校時に子どもだけの状況となる不安もあります。
ちょっと仕事と家庭の両立で疲れたなぁと思っても、収入を減らすと住宅ローンの返済に響きます。
夫婦でしっかりと話し合い、家事や子育ての分担をしっかりと行っていくことが重要です。

・収入が下がることも考慮して計画を建てる

それでも長い人生、山あり谷あり、何が起こるのかわかりません。

病気、ケガ、事故といった個人の問題
子育てや親の介護といった家族の問題
不景気による減給や会社の倒産といった社会的問題

様々なことが起こっても大丈夫なように、余裕をもった住宅ローン借入額を検討しましょう!

 

 

ということで、ペアローンのメリット・デメリットについて解説しました。

個人的には、うーん・・・ペアローンはあまりお薦めしません。

30年ローンや35年ローンが一般的ですが、ずっと共働きかつ収入維持というのはリスクが高いですよね。

 

東京のタワマン購入は、パワーカップルによるペアローンが多いようです。

しかし、これはある意味「不動産投資」の側面もあります。

うまく資産価値が上がる人もいれば、住宅ローンが重荷になる人もいます。

 

私たちが暮らす「住宅」は投資ではなく、生活の基盤であり、現実そのものです。

しっかりと現実と向き合って、ペアローンの検討をしていきたいものです。

 

↓こちらのコラムもご覧ください。

ペアローンで家を建てる方必見!ペアローン団信(ペア連生団信)で万一のリスク回避

 

HOUSEリサーチ運営事業部
いっしー
家を建てることで、様々な家の基本知識を学ぶ。
数多くの注文住宅を内見し、住宅系の書籍は大半を読破。
宅建士まで受験。
住宅会社・設計事務所の皆さまにご教授いただきながら、家について楽しく学んでいます。

 

HOUSEリサーチ 新築住宅情報センター

※プロの皆さま、このコラムは家の素人が、建築家の皆さまに教えていただいたり、書籍等で勉強したりした内容を記載しております。
間違いや修正事項がございましたら、ぜひ、ご指摘いただければと思います。




住宅会社・設計事務所の皆さま、「HOUSEリサーチ」で良縁をお繋ぎいたします!

 

 

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