2021年 省エネ基準適否 説明義務化スタート
皆さん、ご存知でしょうか?
2020年5月17日に公布された
「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律(令和元年法律第4号)」
通称「改正建築物省エネ法」により
2021年4月1日以降に「設計」(契約)した住宅に関しては、
設計士より、省エネ基準適否についての説明が義務化されました。
今回のコラムでは、省エネ基準って何?ということも含めて、解説していきます!
【この制度の目的】
・建築主の省エネ性能に対する理解の促進
・建築する建物の省エネ性能を高める気持ちを持ってもらう
とうことになります。
これから建てる家は、省エネ性能が高い家であるべき!という趣旨ですね。
【制度の対象となる建築物】
・2021年4月1日以降に契約された住宅
・10平方メートル以上、300平方メートル未満の住宅
となります。
延床面積30坪 = 約100平方メートル
ですので、ほとんどの住宅は対象になります。
【説明する人】
・設計士
建築士が施主に対して、省エネ基準への適否を書面で説明します。
必ず、「書面」の交付が行われます。
言った、言わないというトラブルをなくすためですね。
住宅営業担当者が説明することはダメです。
必ず、設計した設計士から説明が必要となります。
【省エネ基準とは?】
省エネ基準には
・外皮の熱性能基準
・一次エネルギー消費量基準
の2つがあります。
【外皮の熱性能基準】
住宅の窓や外壁などの外皮性能を評価する基準のことを言います。
外皮性能を評価する基準には
・外皮平均熱貫流率の基準
・冷房期の平均日射熱取得率基準
があります。
外皮平均熱貫流率は、UA値(W/(m2・K))で表されており
単位温度差当たりの外皮熱損失量 ÷ 外皮の部分の面積の合計
で計算されます。
全く意味がわからないと思いますが(笑)、単位面積当たりで、建物から熱がどのくらい逃げていくのか?という指標だと思ってください。
「断熱性能」を示す数値とのことです。
この値が小さいほど、熱が逃げにくいので、省エネルギー性能が高いといえます。
UA値の欠点を上げるとすると、気密性の指標である「C値」と違って、実際に測定する訳ではないということです。
すなわち、計算式の上での値となりますので、建築された家が「実際に断熱性能が良いのかどうか」とは違うということです。
わかりやすく言えば、現実問題の、漏気(気密性)・日射(太陽光)・蓄熱(熱がこもる)は考慮されていないということです。
この点を知った上で、設計士さんにきちんと説明を聞くと良いですね。
ちなみに、もう一つの「断熱性能」を示す数値である「Q値」とは、おおまかに値変換することができます。
UA値=0.374☓Q値-0.14
Q値=2.67☓UA値+0.39
ぜひ、覚えておいてくださいね。
冷房機の平均日射熱取得率は、ηAC(%)で表されており
単位日射強度当たりの冷房機の日射熱取得量 ÷ 外皮の部位の面積の合計 ✕ 100
で計算されます。
こちらも、全く意味がわからないと思いますが、単位面積当たりで、夏に太陽からの熱がどのくらい建物に入ってくるのか?という指標だと思ってください。
「日射遮蔽性能」を示す数値とのことです。
この値が小さいほど、日射による熱量が少ないので、冷房効果が高くなるといえます。
※ちなみに、なぜ、同じ単位面積当たりの熱量の計算なのに、単位が違うのか?は、素人の私には全くわかりません。
【一次エネルギー消費量基準】
一次エネルギー消費量とは
・暖冷房エネルギー消費量
・換気エネルギー消費量
・照明エネルギー消費量
・給湯エネルギー消費量
・家電等エネルギー消費量
を足したものをいいます。
言葉の意味の通り、日常生活で普通に使う、電気やお湯のエネルギーの総量ともいえるでしょう。
一般的な家庭における一次エネルギー消費量のことを「基準一次エネルギー消費量」といいます。
設計士は、設計段階において、軒の長さ、壁の断熱性、窓の断熱性、サッシの断熱性、熱交換機器の導入など、効率的な設備を考えて計算していきます。
計算上生まれるエネルギー消費量から、太陽光発電やエネファーム等で削減できるエネルギー量を引いたものを「設計一次エネルギー消費量」といいます。
基準一次エネルギー消費量 >= 設計一次エネルギー消費量
となることが求められています。
簡単に言えば、一定の基準値より、エネルギー消費量が小さくなる家を作りなさい!ということですね。
この基準の欠点を上げるとすれば、家の性能が普通でも、太陽光発電さえつけてしまえば、基準を満たしてしまうということですね。
家の性能を上げると、コストも上がってきます。
コストを上げずに、【一次エネルギー消費量基準】を満たすには、太陽光発電を設置するのが簡単ということです。
この点を知った上で、設計士さんにきちんと説明を聞くと良いですね。
ということで、省エネ基準適否 説明について記載させていただきました。
ただ、上記の数字など聞いても、チンプンカンプンだと思いますので
具体的に
「年間で水道光熱費が○○円ぐらい節約になります」
という説明になるのではないかなと思います。
「ZEH」の考え方である
使用エネルギー
-断熱によるエネルギー削減
-省エネ機器によるエネルギー削減
+太陽光発電によるエネルギー創出
がゼロになる。
という考え方の方が、わかりやすいかもしれません。
ただし
断熱によるエネルギー削減には、初期コストがかかる
省エネ機器によるエネルギー削減には、初期コストと買換・修理コストがかかる
太陽光発電によるエネルギー創出には、大きな初期コストと維持管理コストがかかる
ということも覚えておきましょう。
長く住む住宅ですので、しっかり説明を聞いて、しっかり話し合って、しっかりコストと向き合って、良い家を建ててくださいね。
「建築物省エネ法」について、もっとマニアックに知りたい方は、こちらもご参照くださいね。
国土交通省
建築物省エネ法が改正されました
国土交通省
改正建築物省エネ法 オンライン講座
国土交通省
建築物省エネ法 Q&A集(ver.1)令和2年1月
※Q&Aの量がものすごいですね(汗)
↓こちらのコラムもご参考くださいね。
太陽光発電ってお得なの?私もわからなかったので勉強してみました!
いっしー
家を建てることで、様々な家の基本知識を学ぶ。
数多くの注文住宅を内見し、住宅系の書籍は大半を読破。
宅建士まで受験。
住宅会社・設計事務所の皆さまにご教授いただきながら、家について楽しく学んでいます。
HOUSEリサーチ 新築住宅情報センター
※プロの皆さま、このコラムは家の素人が、建築家の皆さまに教えていただいたり、書籍等で勉強したりした内容を記載しております。
間違いや修正事項がございましたら、ぜひ、ご指摘いただければと思います。
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