理想の家を、できるだけ安く建てたい!
家を建てる際に、このようなワガママは、ほぼ全員が思うことですね。
家を建てる際には、多くの作業が発生します。
・基礎工事
・大工工事
・給排水工事
・電気工事
・内装工事
・左官工事
・外構工事
など、1社ですべての作業を行うことはできず、それぞれの専門業者にお願いすることになります。
家を建てる場合、多くの方がハウスメーカーや工務店、設計事務所を「窓口」として、設計・建築をお願いすることになります。
お金の支払先は1ヶ所。
何か要望がある際には「窓口」に依頼すれば、対応をしてもらえます。
この方法は「一括発注」や「総合発注方式」と呼ばれます。
メリットとデメリットは以下の通りです。
【メリット】
・やり取りがシンプル
・トラブルに対する責任がはっきりしている
【デメリット】
・見積もりの内容がわかりにくい
・要望を伝えにくい
・余分な費用がかかる
「一括発注」は、一般的な家を建てる方法です。
「余分な費用」というのは、様々な「調整料」であったり、ハウスメーカーの「粗利」だったりします。
この部分をカットすることができれば、家って安く建てられるはず!
このように思われる方は「分離発注」という方法があります。
1.「分離発注」って何?
「分離発注」というのは、基礎は基礎屋さん、水道は水道屋さん、造作は大工さんなど、工事内容を分けて各専門家に別々に発注する方式です。
簡単に言えば、自分がハウスメーカーとなって、段階ごとに各専門家に依頼して、家を建てていくという方式ですね。
ハウスメーカーが「粗利」としているコストを、カットすることができる反面、様々な「調整」を自分で行っていかなければなりません。
この「調整」のことを「現場管理」とも言います。
つまり「現場監督」を自分で行うという方法ですね。
2.分離発注のメリットとデメリット
「分離発注」のメリットとデメリットを考えてみましょう。
【メリット】
・各専門業者と直接コミュニケーションが取れるので、希望が叶えやすい、思っていたのと違うということが減る
・コストダウンが期待できる
・建物に瑕疵が生じたとき、責任の所在が明確
【デメリット】
・現場監督のため、様々な知識が必要
・各工程ごとに、別の業者に発注するため手間がかかる
・業者間のスケジュール管理が必要
・建物に瑕疵が生じたとき、責任の所在が明確な反面、
・建物に瑕疵が生じたとき、各工程ごとに現場立会をしておかないと、責任の切り分けが難しい
・住宅ローンが受けにくい
コストがカットできる反面、様々な手間がかかるのは、仕方のないことですね。
逆に言えば、建築が好きで、調整が得意で、現場に通いやすい人には魅力的な方法とも言えます。
3.工事監理(施工監理)と施工管理は違う!
設計事務所を窓口として家を建てる場合、設計事務所は、建築設計と工事監理(施工監理)を行います。
ん?監理?
管理の間違いでは??
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
実は「工事監理(施工監理)」と「施工管理」という別の言葉があるのです。
工事監理(施工監理)
・設計図通り施工が行われているかのチェック(監理)をする
・工事内容が設計図通りなのかどうかを確認する業務です。
施工管理
・現場の施工をスムーズに進めるために、統括管理(現場管理)をする
・工期の中で、順番に専門業者を入れて家を建てていくために、全体管理をする業務です。
つまり、分離発注をする場合、設計事務所は設計と監理はしてくれますが、施工管理は自分でしなければならないということです。
一般的に、設計事務所を窓口として家を建てる場合は、施工監理を設計事務所が、施工管理を工務店がしてくれます。
設計事務所を窓口にしても、分離発注とは違うのですよね。
実際に分離発注を行ってみました(リフォーム工事)
先日、私が管理している一戸建ての賃貸物件のリフォーム工事を行いました。
大きなリフォーム会社に一括発注すれば「施工管理」もしてもらえるのですが、今回は勉強も兼ねて「分離発注」を行ってみました。
内容は
・屋根の塗装(塗装会社A社)
・ベランダの塗装(塗装会社A社)
・足場設置(塗装会社A社→足場業者H社)
・ベランダやカーポートの屋根材交換(塗装会社A社→屋根業者E社)
・壁のベニア補強(内装業者B社→大工D社)
・壁紙張替え(内装業者B社)
・コンセント交換工事(内装業者B社→電気会社G社)
・床材張替え(大工C社)
・ドアフォン交換(大手家電量販店→電気会社F社)
という感じです。
4社にお願いして、そのうち3社が別の5社に依頼し、計9社が入りました。
家を建てることに比べると、少ない業者数ですが、感じたことを書いてみます。
1.トータル料金は安いのか高いのかよくわかりません。
先にお詫びしておきます。
知り合いの3社+大手家電量販店1社への見積もりで、相見積もりをしておりません。
また、大きなリフォーム会社にも一括見積もりを行っていませんので、比較ができない状況です。
「知り合い」のため、失礼に当たらないよう、相見積もりも値引きもしない状況で依頼をかけました。
2.「家の鍵」を複数本用意して管理する必要がある。
すべての工期に立ち会える訳ではないですので、各社に「家の鍵」を渡す必要があります。
工期管理の観点でも、防災の観点でも、鍵の受け渡しは重要です。
工事終了後、最終チェックの際に、鍵を返していただくのが一般的です。
3.日程管理がなかなか大変!
各社、他の工事との兼ね合いで、リフォーム工事をしてくださります。
各社に相談しながら、どの順番で工事を行うのか?工期が被っても大丈夫なのか?被らない場合は、いつ工期が決まるのか?など、細かな調整が必要でした。
2週間程度の工事を想定していましたが、実際には全体で1ヶ月程かかりました。
4.「知り合い」の依頼先は信用できても、その先の業者さんが信用できるかどうかはわからない。
書き方が悪いのですが、業者さんというより「職人さん」の人間性や基本的所作には、「当たり前」の感覚の個人差が大きくあります。
例えば
・床に直接「モノ」を置いている
・こちらが設置していたブルーシートなどを勝手に使って汚している
・ゴミを捨てている
・タバコの吸い殻がある
・室内でタバコを吸う
・見えるところしか掃除をしていない(美装が見積もりに入っていないため、もあります)
・トイレの使い方が汚い(許可はしていたのですが、さすがに苦情を入れました)
・交換時の部材の破片や釘などが残ったまま
・あちこち小さな傷がある
などでしょうか。
文字にすると酷いように思うのですが、実際は、けっこう細かな点ばかりで、施主側だからこそ気になることもあります。
人によりけり、というのが正しい状況です。
「工事の途中は見てはいけない」
という言葉もありますが、現実問題、施工中は理想とは違い、現実がありますので、最後にきちんとすることが重要ですね。
5.「立会」を頻回に行わなければならない。
信用と信頼は違います。
信用して仕事をお願いしますが、「行き違い」「指示の抜け」「質の確認」「人間関係の構築」など、信頼をするためには、やはり細かなチェックとコミュニケーションが必須です。
・仕事開始日
・工期途中
・工事終了日
と、各社毎にこの日程で現場に行くことは重要です。
自分が行う作業もあったため、ドリンクを持っていってコミュニケーションを取っておりました。
「施主の顔」が見えていることは、分離発注の場合はかなり重要だと思います。
ということで、リフォームではありますが体験してみた「分離発注」
正直、かなり大変です!
戸建て住宅を建てるとなると・・・正直、私には向いていないだろうなと思いました。
各種要望を調整してくださる営業担当社、施工管理をしていただく現場監督、細かな要望を聞いてくださる棟梁。
もう少し言えば、家が建った後に様々な相談をするコールセンターや担当者の方々。
本当にありがたいなぁと思います。
ということで、
「一括発注」にかかるコストは、私は「必要コスト」だと考えています。
ただ、
家にとことん関わりたい!
細かな点まで要望を叶えたい!
そのためには時間と労力を惜しまない!
という方には「分離発注」は面白いと思います。
コストも削減でき、家を建てる楽しみも経験できますね。
あなたは、どちらの方法で家を建てますか?
素敵な家を建ててくださいね!
こちらのコラムもご参考ください。
いっしー(家の素人 勉強中)
家を建ててようやく家の基本中の基本を知る。
建築家の皆さまにご教授いただきながら、家について楽しく学んでいます。
※プロの皆さま、このコラムは家の素人が、建築家の皆さまに教えていただいたり、書籍等で勉強したりした内容を記載しております。
間違いや修正事項がございましたら、ぜひ、ご指摘いただければと思います。
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