なぜ、家の値段は契約前からどんどん上がっていくのでしょうか?
人生における高額な買い物として、
住宅・車・生命保険
の3つは有名です。
そのうち
「形」があるものは住宅と車です。
車(新車)を買う場合について考えてみましょう。
ショールームやホームページやパンフレットで、車の車種と色を選びます。
次に欲しいオプションをプラスしていきます。
最後に、登録手数料や税金やその他諸々の諸経費をプラスして、値引きなんかもしてもらって、「最終的な購入金額」が確定します。
「最終的な購入金額」が確定した後に、契約、お金の支払い(ローンの設定)となります。
至って、普通の、当たり前のモノの買い方ですね。
では、住宅(新築)を買う場合はどうでしょう?
まず、建売住宅の場合について考えてみましょう。
広告を見て、実際の住宅を見に行き、気に入ったら見積もりを出してもらいます。
土地代、住宅代、登記費用、各種手数料、その他諸々の諸経費をプラスして、「最終的な購入金額」が確定します。
「最終的な購入金額」が確定した後に、契約、お金の支払い(ローンの設定)となります。
こちらも、至って、普通の、当たり前のモノの買い方ですね。
それでは、本題。
次に、注文住宅を買う場合について考えてみましょう。
注文住宅だけは、なぜか、全く違う買い方なのですよね。
住宅展示場や、モデルハウス、完成見学会等に行き、デザインや雰囲気や大雑把な価格帯を確認します。
大雑把な希望を伝えて、営業の方から、サンプルの間取りや、仮見積もりなどを出してもらいます。
ここで契約金や手付金等(様々な名称)を支払って「契約」を交わします。
さて、ここからようやく、設計士を交えて、詳細な図面を作っていきます。
希望を伝えれば伝えるほど、面積が広くなっていき、金額が上がっていきます。
土地の制限もあります。
様々な価格調整を行いながら、図面がまとまります。
家の見積もり、少しでも安くしたい!・・・金額調整と値引きの違いを知ろう!
図面ができた後は、住宅設備、壁紙、床などを決めていきます。
「商品」となっている住宅の場合、ある程度パッケージの中から選ぶと追加費用はかかりませんが、希望する商品を選んでいくと「オプション料金」が必要となってきます。
大手住宅メーカーの住宅展示場の場合、展示されている住宅設備、壁紙、床などは、標準パッケージではないことが多いです。
結構、高額で素敵なオプションばかりです。
一度、住宅展示場のキラキラを見てしまうと、不思議と、
標準パッケージでは耐えられなくなってきます(汗)
そうして、「オプション料金」が積み上げられていきます。
この「オプション料金」が、100万円~○00万円と、あっという間に上積みされます。
工務店さんの場合は、最終金額が確定する前に工事に入るケースもありますので、工事をしながら、施主さんの要望による変更を行いながら、価格が変わっていくことも少なくありません。
次に「建物以外」のお金についてです。
ふと気づくと、住宅代金以外のお金もかなりかかることがわかってきます。
・土地の整地費用、改良費用
・土を足したり、引いたりする費用
・設計費用
・事務作業のための費用
・補助金を申請する費用
・太陽光発電の費用
・基礎工事の費用
・工事期間の仮設トイレの費用
・足場の費用
・登記費用
・照明器具の費用
・カーテンの費用
などなどなどなど
あっという間に、200万円とか300万円とか上積みされます。
そして、最後にやってくるのが、外構の費用です。
最初に外構費用として100~200万円程度が仮計上されていると思います。
が、instagram等で理想が広がってしまうと、希望する外構のためには、全く費用が足りないことが発覚してきます。
そうなのです。
外構工事って高いのですよね。
ハウスメーカー指定業者の場合は、マージンがかかりますので、通常より高くなります。
しかしながら、万一、工事のトラブルがあった際には、ハウスメーカーが責任を持って対応してくれます。
指定業者以外の外構業者にお願いする場合は、業者との出会いが重要となってきます。
また、ハウスメーカーの住宅引き渡しが終わった後でないと工事に入れないため(トラブル防止のため)、引き渡しが終わってから、しばらく不便な状態が続きます。
どちらもメリット・デメリットがありますが、とにかく、初期想定よりは必ず、外構費用は上積みされていきます。
このように、注文住宅は「契約」をしてから、様々な費用が上積みされて、最終価格が確定していきます。
そのため、最終価格が確定するのは、いったいいつになるのか?という不安を抱えながら、住宅建築が進んでいきます。
車の場合は、オプションも含めて、すべてパッケージ化されていますので、金額が確定していきます。
しかしながら、注文住宅の場合は、施主さんのご要望や、住宅会社の独自ルールによって、様々なオプションが必要となり、金額が上積みされていきます。
本来でしたら、設計、オプション、その他諸費用をすべて出してもらった上で「契約」をすべきです。
このような仕組みも実際にはあります。
しかしながら、設計はタダではありません。
施主さんが、最初にきちんと設計料を払ってスタートするのが本来の形なのですが、それをしてくれる施主さんは少ないのが現状です。
無料で打ち合わせを重ね、設計を何度も行い、すべての費用を算出して最終金額を出した後に、
「他の会社の方が安いので、やっぱりヤメます!」
なんてなった日には、住宅会社の損失は計り知れません。
そのため、現在のような契約金や手付金等といった「違約金」の性質をもったお金をもらって、先に「契約」する仕組みが主流となっています。
結果的に、この方法が、双方がハッピーな仕組みなのだと思います。
よく、複数社に見積もりをもらって、その中から安いところに決定されている方を見かけます。
しかしながら、その見積もり価格は確定価格ではありません。
後々、上記の理由で費用は上積みされていきます。
上積みの原因は、施主さんの要望なのですよね。
(営業の方の説明不足もあるかもしれません)
ということで、今回はマジメな固いお話となりました。
でも「お金」の話って、ちゃんと考えないといけないのですよね。
特に「契約する」際に、事前に確認しておいた方が良いことはこちらの3つです。
・住宅設備に関して、標準パッケージとオプションの違いと、差額の追加費用について
・住宅代金以外の様々な諸費用と具体的な金額について
・外構費用は、提示された金額+100~200万円を仮見積もりとして入れてもらうこと
この3つを認識しているだけで、想定金額のずれは小さくなっていきます。
この3つだけで、500万円以上の金額になると思います。
この金額を考えて、理想の家を考えていくことが重要です。
「100万円アップなんて月々わずか3,000円ですよ!」
という営業トークをされるかもしれません。
「100万円アップなんて月々わずか3,000円ですよ!」それは天使の声なの?悪魔の声なの?
一時の感情に流されないように、しっかりと計画を立てていきましょう!
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いっしー
家を建てることで、様々な家の基本知識を学ぶ。
数多くの注文住宅を内見し、住宅系の書籍は大半を読破。
宅建士まで受験。
住宅会社・設計事務所の皆さまにご教授いただきながら、家について楽しく学んでいます。
※プロの皆さま、このコラムは家の素人が、建築家の皆さまに教えていただいたり、書籍等で勉強したりした内容を記載しております。
間違いや修正事項がございましたら、ぜひ、ご指摘いただければと思います。
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