タイトルにひかれて、こちらの本を読んでみました。
【学びポイント】
デザイン ☆☆☆☆☆
性能 ☆☆☆☆☆
コスト ☆☆☆☆☆
その他 ★★★☆☆
天才を育てる本というより、「子ども部屋」に関する書籍といえます。
2010年初版の書籍ですが、一気に読んでしまいました。古さは全く感じません。
まず、子ども部屋の概念について、日本と欧米の違いが面白いです!
【日本】
1950年以前には、子ども部屋というものが存在しなかった。
→ 六畳間でちゃぶ台を出して食事をし、夜はちゃぶ台をしまって布団を敷いて寝る、という生活。
1955年に日本住宅公団ができ、「寝食分離」というアメリカ型住居スタイルを取り入れ始める。
↓
「ウサギ小屋」と称された十数坪の家がたくさんつくられ、個室が一つ作られる。
↓
当初は「性の解放」ともいえる、夫婦の寝室として普及していく。
↓
1960年代に入り、高度経済成長と学歴社会の風潮が強まる。
↓
個室は子どもの個室&勉強部屋として変化していく。
↓
1970年代に入り、家の規模が徐々に大きくなり、主寝室+子ども部屋が人数分と変化。
【アメリカ】
皆平等で個を大切にするという、ピューリタンの思想がベース。
個人やプライバシーを尊重する象徴が個室。
子ども部屋は基本的に寝室&自立を促す空間として使用。
基本的にはリビングに家族が集まり、コミュニケーションを図る。
子ども部屋の使用にはルールが存在し、徹底している。
「ノックをせずに子ども部屋に入らない」
「寝るとき以外は基本的に部屋に入らず、リビングルームに集う」
勉強は家族とふれあいながら、リビングやダイニング等で行うのが一般的。
【ヨーロッパ】
子どもを「生まれたときには知性のない動物」と見なして、どうすれば人として成長させることができるか?をベースとした子育て。
20世紀後半の公営住宅には、子ども部屋はないことが多い。また、家族が集まるリビングもない。
大人が社交的に集まるサロンという場所がある。
子ども部屋のない家は、ダイニングなどの部屋の一角にベッドを置いて、寝るときにカーテンを閉める。
勉強は学校でやるもの。家は家族でくつろぐもの。
勉強したいのであれば、図書館などの公共施設を使う。
なるほどです。
子どもに対する考え方の違いが面白いですね。
子ども部屋って、今は当たり前になっていますが、私が幼い頃にもかなり当たり前になっていたような。
学歴社会が生み出したものかもしれませんね。
子ども目線の「子ども部屋の機能」という分類もありました。
1)自分の領域ができる嬉しさ
2)トライする楽しさと管理する難しさ
3)一人きりになれる嬉しさと寂しさ
4)静かで集中できる安心感
5)逃げ込める安堵感
6)世の中との断絶が可能なエリア
ポジティブ要素と、ネガティブ要素がありますが、子ども部屋のあり方がよくわかります。
一人静かに勉強していると、ガヤガヤした環境で集中しにくいということもあるようです。
(たしかに、私はそのようなタイプかも(汗))
勉強部屋という子ども部屋と、セットで考えなければならないものに「学習机」があります。
子ども部屋は学習机を置くところ、という考え方もありますが、
なんと、学習机は「日本独特の文化」なのだそうです。
欧米には学習専用机というものはほとんどないそうです。
日本では1960年代以降の高度経済成長期に子どもに勉強部屋と専用の机を与えたところから、学習机が誕生したとのこと。
1962年に、大手の企業がはじめて学習机を販売しはじめたそうです。
初期は中高生向けのスチール製の平机で、それから約10年ほど経ってから木の学習机が誕生しています。
(参考)
最初の学習机といわれる「くろがね学習机」
これは歴史的資料としても面白いです!
うちの家も、子ども部屋はありますが、学習机はどうしようか?とか、基本的にはリビングで勉強だよなぁ、とか、いろいろと悩んでおります。
周囲も、小学校高学年ぐらいまではリビングで勉強する子が多いようですね。
いずれにせよ、コミュニケーションが大切だなぁ、と思います。
皆さんのご家庭では、どのように過ごされていますか?
いっしー
家を建てることで、様々な家の基本知識を学ぶ。
数多くの注文住宅を内見し、住宅系の書籍は大半を読破。
宅建士まで受験。
住宅会社・設計事務所の皆さまにご教授いただきながら、家について楽しく学んでいます。
※プロの皆さま、このコラムは家の素人が、建築家の皆さまに教えていただいたり、書籍等で勉強したりした内容を記載しております。
間違いや修正事項がございましたら、ぜひ、ご指摘いただければと思います。
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