家を建てます!
土地を購入しました!
住宅の基本設計が終わり、いよいよ地盤調査です。
地盤調査をしたところ、
「えっ?地盤が軟弱?」
「えっ?地盤改良ってこんなに費用がかかるの?」
「資金計画が大きく違ってしまう!」
とういことが起こっているケースを時々見かけます。
ということで、今回は地盤について考えてみましょう!
地盤が悪いと、家の重量で、家が傾いてしまうことがあります。
家が傾くと、頭痛や目眩など体調不良になったり、基礎や外壁にヒビが入ったり、ドアや窓が開きにくくなったり、雨漏りの原因になったりします。
家が傾いてしまうと、修正するのはほぼ不可能です。
そのため、しっかりと地盤調査、地盤改良を行うことが必須です。
目次
1.家が傾かないためには、支持層が必要!
地面って見た目には硬いのですが、建物の観点から考えると、固い地盤、柔らかい地盤というものがあります。
柔らかい地盤の上に家を建てると、時間の経過とともに家が傾きます。
そのため、地面の下に、正確には家の基礎の下、特に構造体となる柱の下に、固い支持層が必要です。
例えば、田んぼや畑を宅地に造成する場合、その上に土を入れて固めていきます。
田んぼや畑からの造成地では、表層が柔らかいです。
そのため、わずかですが、建物周辺に地盤沈下が起こり、階段や、室外機などが、少し傾いてしまうこともあります。
できれば、半年~1年は置いておいて、重力や雨の力を使って、地面を締めたいところです。
しかし、この方法で表面上(表層)は締まりますが、その下に支持層があるかないかは全くの別問題です。
傾かない家を建てるためには、建物の下に支持層が必要ということです。
2.地盤調査って何?
地面の下に、支持層があるのかどうかを調べることを、地盤調査といいます。
2007年より、住宅を建てる際には、地盤調査が義務付けられています。
地盤が軟弱と判定されると、地盤改良工事が必要となります。
地盤調査の方法は、大きく分けて2種類です。
・SWS試験(スクリューウエイト貫入試験)(旧スウェーデンサウンディング試験)
2020年10月26日付でJISが改正され、名称が、スウェーデン式サウンディング試験からスクリューウエイト貫入試験に変更となりました。
装置が簡単で、迅速に測定できるのが特徴で、多くの住宅会社で採用されています。
地盤にロッド(鉄の棒)を垂直に突き刺して、棒の沈み方から、地盤の硬さや締り具合を調査します。
敷地の4隅と中央の計5ヶ所を調べるのが一般的です。
状況に応じて、6点、7点の調査をすることもあります。
深さ10m程度までの地盤調査が可能です。
地盤調査の費用は5万円程度です。
↓この動画がわかりやすいです。
(地盤の専門家サムシング さん)
https://youtu.be/FTEFU_enDi4
・ハンドオーガーボーリング(ハンドオーガー調査)
オーガー(掘削器具)を回転圧入して、地中に孔を開け、資料の採取・観察を行う調査です。
深さ3m程度までの地盤調査に適しています。
SWS試験の補助試験として使われることが多いです。
地盤調査の費用はは25~30万円程度です。
地盤調査は、図面ができた後に行われます。
建物をきちんと支える地盤として、敷地の4隅と中央の計5ヶ所を調べるためですね。
そのため、建物の設計が変わると、調査のやり直しが必要となります。
図面ができた後に行うのは、建物の安全上、仕方がないことです。
3.地盤の改良工事
地盤調査で、地盤が軟弱だと判明すると、地盤改良が必要となります。
地盤が軟弱のままですと、危険ですので家が建ちません。
そのため、地盤改良工事を行い、地盤を強固にする必要があります。
地盤改良の方法には、大きく分けると3種類の方法があります。
・表層改良工法
軟弱な地盤が、深度2メートル以下の時に行われる工法です。
工事にかかる日数は1日~2日程度で済みます。
1坪あたり2万円程度の費用となります。(40~60万円程度)
・GRPシート工法
地面を40~50cm掘って砕石を敷き詰め、その上にシートを被せて、さらに砕石を敷く工法
・柱状改良工法
軟弱な地盤が、深度2~8メートルのときに行われる工法です。
地中にコンクリートと土を混ぜた柱を建てる工法です。
工事にかかる日数は1週間程度かかります。
1坪あたり5万円程度の費用となります。(60~80万円程度)
・ソイルセメント工法
セメント系固化材を現地の土と混ぜて締固める工法
※腐植土がある場合は、セメントが反応しないため使用できません。
・鋼管杭工法
地中に鉄製の杭を打ち込む工法で深度30メートルまでの工事が可能です。
3階建て住宅、鉄骨住宅などに使用されます。
工事にかかる日数は1日~2日程度で済みます。
1坪あたり5万円~7万円の費用となります。(90~130万円)
その他の工法として以下のものもあります。
・砕石パイル工法
小さく砕いた天然石を地面に詰め込んで形成した石柱(パイル)を使って地盤を補強する工法
地震などの揺れにも強く、水はけもよいため、液状化を防ぐ効果も期待できるのが特徴
柱状改良工法に替わる工法
・SF-Raft工法
専用の工具で地中に穴を開け、そこにセメントミルクという補強体を流し込む
柱状改良工法と鋼管杭工法の間の工法
・RES-P工法(レスピー工法)
弱い地盤中にパイプ(細経鋼管)を貫入して、地盤とパイプの複合作用で地盤を強くして沈下を防ぐ工法
柱状改良工法と鋼管杭工法の間の工法
土地を購入する前に、地盤が強いのかどうかはわからないケースがほとんどです。
地盤調査結果がついた土地ってないですよね。
既存の住宅が建っていた場合でも、地盤が弱いというケースもあります。
できれば、土地を購入する前に、コストを払って地盤調査をするのが理想です。
難しい場合は、地名や場所から推測することも可能です。
↓こちらをご参照ください。
土地選び、災害対策もしっかり考えよう!(地震・豪雨・台風)
https://houseresearch.jp/note/house/4522/
埋立地や、傾斜地を盛土した土地の場合は、どうしても支持層との距離が遠くなってしまいますので、注意が必要です。
ちょっと一般の方には難しいのですが、土地情報、地盤情報のデータベースから調べる方法もあります。
国土地理院 日本の典型地形について
https://www.gsi.go.jp/kikaku/tenkei_top.html
国土地盤情報検索サイトKuniJiban
https://www.kunijiban.pwri.go.jp/jp/
G-Space 日本全国の地質地盤情報データベース
https://www.gspace.jp/index.php
住宅は立地も大切ですが、土地の地盤の強度も大切です。
極端な話、家は建て替えができますが、土地は変更することができません。
土地を購入する前に、できる限り、しっかりと下調べをしてから決定しましょうね。
いっしー(家の素人 勉強中)
家を建ててようやく家の基本中の基本を知る。
建築家の皆さまにご教授いただきながら、家について楽しく学んでいます。
※プロの皆さま、このコラムは家の素人が、建築家の皆さまに教えていただいたり、書籍等で勉強したりした内容を記載しております。
間違いや修正事項がございましたら、ぜひ、ご指摘いただければと思います。
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